勁草書房から、『アジアの人権ガバナンス』が出版されます。
勝間靖早稲田大学教授の編著で、私は第3章「地域的子どもの権利保障メカニズムの実現に向けて」を書いています。
この副題が「北東アジア子どもの権利革命宣言」です。
出だしはこんな感じです。
本章では,東アジア,とくに中国,韓国,日本,モンゴルを中心とした北東アジアに焦点を当て,この地域で実現可能かつ有効に機能すると思われる地域的な子どもの権利保障メカニズムおよびその実現方法について検討する .
近年のグル―バルな人権レジーム の急速な発展のなかで,北東アジア地域が世界の趨勢から取り残されていることは否定できない事実である.その背景には,この地域固有の政治状況があることは間違いない.しかし,一方で北東アジアは儒教・仏教などの文化的資産を共有しており ,その意味ではこの地域にヨーロッパや米州,アフリカのような自立的な地域的人権保障メカニズムを構築することは決して夢物語ではない.
わたしは,人権規範には実定法上の法言語としての側面と,その正当化根拠である道徳秩序構想としての側面があり(Taylor 1999: 125),この両面から北東アジアにおける地域的人権保障メカニズムの構築を目指すべきであると考えている.すなわち,人権規範がこの地域に定着し,遵守されるようになるためには,この地域で広く承認されている道徳秩序構想が人権規範の正当化根拠として受け入れられる必要がある .その際に留意すべきことは,グローバル化時代の今日,北東アジア固有の文化的伝統は尊重されなければならないが,その地域主義はリベラルな多文化主義の原則と両立するものでなければならないということである.
同時に,北東アジア各国の国内人権状況の具体的改善につながるような地域的連携メカニズムの漸進的な構築と実践の積み重ねが必要である.その際の鍵となるのが国内人権機関と地域的・国際的な救済申立制度である.
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***新刊のご案内***
アジア地域統合講座専門研究シリーズ第1巻
『アジアの人権ガバナンス』
Human Rights Governance in Asia
勝間靖(早稲田大学教授)編著
勁草書房
A5判上製256頁 予価3990円(本体3800円)
ISBN 978-4-326-54629-9
2011年11月28日(月)配本
女性・子ども・障害者・難民・先住民族・エスニックマイノリティ等への人権保障はアジア地域協力と地域統合につながるのか?
***目次***
第1部 国際人権規範の地域的な促進と実施
第1章 アジアにおける人権レジームの構築
― グローバル人権規範の受容とASEAN人権委員会 ―
/ 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)
第2章 女性の権利をめぐる東南アジアの地域的な取組み
― ASEAN女性と子ども権利委員会 ―
/ 中川香須美(パンニャサストラ大学)
第3章 地域的子どもの権利保障メカニズムの実現に向けて
― 北東アジア子どもの権利革命宣言 ―
/ 森田明彦(尚絅学院大学)
第4章 アジア太平洋における障害者の人権
― 障害当事者による人権の確立を目指して ―
/ 中西由起子(アジア・ディスアビリティ・インスティテート)
第2部 人権の主流化とネットワーク形成
第5章 アジア開発銀行と人権
― 開発における人権保障をめぐる現状と課題 ―
/ 藤田早苗(エセックス大学)
第6章 子どもの性的搾取に反対する国際ネットワークの形成
― 当事者を中心とした「子どもの権利」ガバナンスの模索 ―
/ 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)
第7章 難民の権利を守るための地域ネットワーク
― アジア市民社会の動きを中心に ―
/ 松岡佳奈子(難民支援協会)
第8章 先住民族ネットワーク
― アジアの草の根運動と国際人権システムを架橋する ―
/ 木村真希子(学習院大学/立教大学 非常勤講師)
第3部 深刻な人権侵害の解決へ向けた地域協力
第9章 ミャンマーの人権侵害とアジア地域協力の可能性
― 欧米諸国とASEAN諸国の対応の相違に注目して ―
/ 本多美樹(早稲田大学)
第10章 フィリピン南部ムスリム社会の人権侵害
― 人権保護システム構築へのみち ―
/ 石井正子(大阪大学)
第11章 エスニック・マイノリティの人権のための地域協力
― チッタゴン丘陵をめぐるNGOによる平和構築の試み ―
/ 下澤嶽(静岡文化芸術大学/ジュマ・ネット)
資料 人権に関するASEAN政府間委員会への委託事項
/ 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)
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