謙虚さ、仏教の盛衰とローマ帝国

昨日、法哲学関係の論文が一応仕上がったので、気晴らしに仏教関係の本を読んでみた。
目に付いたのが立川武蔵『マンダラの世界』(講談社、2006年)。
立川先生は1942年生まれだから、今年、65歳。
立川先生は現在、仏教を体系的かつ論理的に説明することを目指す『ブッディスト・セオロジー』シリーズの執筆を目指されているらしい。
ずっと昔、科学者としての活躍のピーク時期についてお話を聞いたことがあったのだけど、理論物理学とか数学は20代、社会科学者は40代と記憶している。
しかし、社会がどんどん複雑になり、社会科学の世界できちんとしたものを書くには経験も必要なので、ピークの時期は段々と上がったいるもののようだ。
確かに60代というのは社会経験や読書体験の蓄積からしても、良いものが書けそうな年代ではある。
 
それはともかく、この本の中に仏教の歴史を取り上げた箇所がある。
仏教は紀元前500年頃に誕生し、紀元600年頃から次第に衰退した。
そして、紀元600年前後から密教(タントリズム)という要素を取り入れて少しずつ変化し始め、1300年にはインド亜大陸から消滅する。
立川先生によると、仏教は当時のローマ帝国と通貨共通制度を設けて交易し財を蓄積した商人層によって支えられていたけれども、ローマ帝国が亡んで貿易が衰退すると共にそれらの商人も力を弱めていき、インドは再び農村を中心とした世界になるのだそうだ。
ローマの衰亡を取り上げた名著としては弓削達『ローマはなぜ滅んだか』(講談社学術文庫)がある。
1989年に書かれた本。
冷戦とその後の時代を見つめる中で、「力に平和と繁栄が集中し、力が平和を維持する」という事実を受け止めた上で、古代ローマを振り返るというのは、たいへんな力技だけど、そのローマの盛衰がインド仏教に影響を与えたというのは、やはり壮大な歴史の一面である。
 
そうして考えると一人の人間の人生というものも、自分で決めて自分で切り拓いているように見えて実は自分も気が付かない様々な力に翻弄されて、流されていくという面もあるのかも知れない。
 
歴史を学ぶことは人を謙虚にさせるかな?
もっとも、あまり謙虚でない歴史観もないことはないか(笑)。
 
 
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