姜さんに褒められましたo(^-^)o

今日は東京駅の前にある丸善本店で行われた姜尚中さんのトークショウに出掛けた。
『愛国の作法』という新著の出版記念に開催されたもの。
姜尚中さんは1950年生まれ。
早稲田大学政治経済学研究科博士課程修了。国際基督教大学準教授を経て、1998年より東大教授。
専門は政治学。
 
今日のトークショウは、朝日新聞社編集局長の外岡秀俊さんとの二人トーク。
初めに、姜さんから今年2月までロンドンに駐在していた外岡さんに対してイラク戦争後の英国を含むヨーロッパの動向について質問があった。
外岡さんによると、2003年1月にパウエル国務長官がアルカイダとイラクの繋がりが明らかになったとして対イラク武力行使を求める演説を国連で行ったのに対して、ヨーロッパでは一斉に大規模デモが行われたそうだ。
英国でも100万人の人が反戦デモに参加したとのこと。
そのロンドンから日本を見ていると、日本はまるでブラックホールのように見えたという。
自分も当時のことを振り返ると、その意味がよく分る気がする。
 
その後、話は日米関係になった。
日本政府が米国共和党寄りであるのに対して、韓国は民主党寄りであるという話、英国のブレア労働党政権も当初はクリントン民主党政権に学んで従来の労働組合一辺倒の姿勢を改めて中道政策を採択、政権奪回に成功したが、そのあとブッシュ政権になった途端になぜか共和党寄りになってしまい、今では英国保守党が民主党へ接近しているというねじれ状態になっているという話。
 
さらに東アジアとEUとの比較が話題に上がり、ヨーロッパでは独仏の対立を克服しようということがEUの出発点であったが、同時にNATOを通じて米国を排除しないような配慮が行われたという歴史を振り返った上で、東アジアにおいても米国が排除されていると感じさせるような政策は取るべきではない話が出た。
 
そして、現在のブッシュ政権は、クリントン民主党による中道政策によって奪われた中間派の穴埋めとしてウルトラ右派を取り込もうとしたため、キリスト教原理主義やネオコンが共和党の中で従来のリアリスト保守と同居するようになり、それがブッシュ政権の対外的な強硬政策を後押ししたという話があり、現在の安倍政権の支持基盤の中にもウルトラ右派とリアリスト保守派が同居しており、今回の米国中間選挙の結果、共和党が力を失ったので、今後、安倍政権は米国を背景とした対中強硬路線を改めて対中協調路線に次第にシフトし、その結果、ウルトラ右派の離反が起きれば、安倍政権は意外に現実的なハト派政権に転換するのではないかという楽観的な予想も出ていた。
 
一つの長期的な視点から、最近の政治情勢を解説するようなものに最近ふれる機会がなかったので、たいへん参考になった。
ただ、ブッシュ政権の弱体化が逆に日本国内の隠れゴーリスト(対米独立主義者)を勢いづかせ、日本を核武装、軍事独立路線へ向わせる可能性もあるわけで、手放しで楽観的に考えることは出来ないだろうと思う。
 
そして、その後が現在の自分の研究テーマと関連した話題だったのだけど、戦後日本のリベラルは愛国心や戦死した兵士に対する哀悼の念といった問題を看過してきたという反省が出て、日本のリベラリストは下半身と上半身が分裂していたのではないかという反省が語られた。
そこで、その後の質問タイムに、「戦前の日本の超国家主義のようなイデオロギーが下半身と上半身が分裂している人間には強い影響力を与えたのは何故か」という質問をした。
姜さんの回答は、「イデオロギーはヴァーチャル、観点的であるがゆえに強い影響力を持つということがあるのではないか」というもの。
また、外岡さんも姜さんも「郷土を愛する気持ちは自然であり、郷土の延長線上に国があるのだから、国を愛する気持ちも自然である」という言説の誤りを自覚することが必要だということを述べておられた。
要するに、近代国家は人工的な「想像の共同体」であって、自然な郷土愛、民族愛から一度断絶しているという歴史的事実を踏まえることが必要であるということだろうと思う。
しかし、近代国家が人口物であるが故に、その結びつきを強固にしようと歴史とか文化的記憶を動員して国民意識を創り上げることが必要だったわけで、一度創り上げられた国民意識は逆に一人ひとりの個人のアイデンティティのかけがえのない一部として機能し始めたというのが近代のもう一つのパラドクスなのではないか?
その意味で、近代国家の国民意識は人工物であるというだけでは、この「近代」が生み出したナショナリズムという妖怪を克服することは出来ないように私には思えた。
 
それはともかく、楽しくトークショウは終了、その後サイン会があり、席順の関係で私が一番目になったのだけど、姜さんは「良い質問をありがとう」と言って立ち上がって握手までして下さった。
うれしかったなぁ。
しかも行き詰まっていた論文の糸口まで見つかった。
 
最高にシアワセな午後のひと時と言うべきでしょうね。(^-^)/
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