井上ひさし・樋口陽一『「日本国憲法」を読み直す」

 これは、1993年に行なわれた井上ひさしさんと樋口陽一先生の対談集。
バブルがはじけた直後、湾岸戦争のすぐ後のことである。
 
湾岸戦争で130億ドルを支払っても国際社会でほとんど評価されなかった日本は、その後急速に自衛隊によるPKO活動の実現に動いていった。
井上ひさしさんも樋口先生も、この日本の動きには批判的である。
「国際連合とは各国が最高度に国益を貫いていく国際政治の場所です。」(142頁)
そういう国連で決めた決定に黙って従うことが正しいのか?という疑問はとってもまっとうなもの。
 
ただ、それでは、<「国権」同士がぶつかり合って、殺し合う代わりにありとあらゆる権謀術数を駆使する場で決まること>は全て誤ったことなのか?という政治の基本に関わる問題がここにはある。
 
そして、イラク戦争という、国連すら飛び越して軍事行動が取られるようになった今から振り返ると、90年代前半はまだ牧歌的な時代だったんだなぁ、と思わずにはおれない。
 

日本は、この15年間で否応無しに、自らの足で立ち、自らの責任で自分の生き方を決めなければならない時代に突入したのだと、こういう本を読むとつくづく思う。
考えてみると、巨大な変化である。
日本は今や、自由と人権という普遍的価値を掲げて、その実現のために国際社会の一員として責任を果たす立場にある。
 
「これから日本人が血を流し、汗を流し、泣いて苦しむ時期が来ると思う。その苦しみが日本人を世界の普遍性に辿り着かせるにちがいありませんし、その苦しみがやがて国際貢献預金通帳の残高にたいへんな額の預金を残すはずだと信じます。」(72頁)という井上ひさしさんの言葉は印象的である。
 
それから15年。
 
日本はどこまで来て、どこへ向おうとしているのだろうか?
 
 
 
 
 
 
 
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