現代思想界の巨人―チャールズ・テイラー

チャールズ・テイラーは1931年にカナダで生まれ、カナダの名門マギル大学を卒業したあと、オックスフォード大学に留学、1961年に「ヘーゲルから実存主義にいたる疎外の理論」で哲学博士号を取得。

オックスフォード大学留学時代、1957年にテイラーは、E・P・トムソンらと『大学および左翼評論(Universities and Left Review)』誌を創刊し、英国の新左翼運動に参画している。同誌は1960年にA・マッキンタイアらの『ニューズ・リーズナー』と合併して『ニューレフトレビュー』と改題されている。

ちなみに、『大学および左翼評論』のほうが経営的には成功していたとのこと。

名古屋大学名誉教授の水田洋先生によると、テイラーは敬虔なカトリック教徒としても知られており、当時は「カソリック実存主義者」とか「左翼実存主義」と呼ばれていたこともあるとのこと。

テイラーは、1961年にカナダに帰国、ケベック新民主党結成(New Democratic Party)に参加、1962年より68年まで4回、国政選挙に挑戦。残念ながら当選はしなかったが、トルドー元首相と競い合ったこともあった。

研究者としては、1964年に認知心理学の方法論を批判して、自然科学的方法論で人間を理解することは出来ないということを主張した『行動の説明(Explanation of Behavior)』を出版。

そのほぼ10年後(1975年)、大著『ヘーゲル(Hegel)』を公刊。テイラーは、この研究書によりヘーゲル研究者として知られるようになるが、一方でハイデガー、メルロ・ポンティなど現象学系の哲学にも造詣が深く、さらに西欧近現代美学史に関する知識も豊かで、1989年に出版した主著『自己の諸源泉(Sources of the Self)』では、こちらの知識もフル動員して、西欧近代に誕生した「自己」の形成を記述するという大事業を完遂した。

 2007年9月には、900頁に及ぶ、これまでで最大の著書『ある世俗の時代』を刊行。ヨーロッパの「世俗化」に関する新たな見方を展開している。

テイラーは、また、英語だけではなく、フランス語、ドイツ語も自由に操り、それぞれの言葉で論文も書いている。

さらに英米系の分析哲学、言語哲学の分野でも注目すべき論考を発表しており、現在はハイデガー哲学や人口知能の研究で著名なハーバード・ドレイフュスと共著で『表象主義批判と直接的実在論』(仮称)という著書を準備中とのこと。

言論人としても世界的に活躍しており、80年代には、主に英米圏で行なわれたリベラル・コミュニタリアン論争で主導的な役割を果たし、90年代には多文化主義を巡る世界的な論争を主導、最近はスピリチュアリティや宗教に関する作品を発表して、新たな知的議論を引き起こそうとしている。 

人権の普遍性と西欧的偏向を巡る議論、非西欧社会における民主主義の問題にも積極的に取り組み、1994年には『民主主義への途 タイにおける人権と民主的発展』という報告書をタイのヴィティット・ムンターボーン先生(チュラロンコン大学法学部教授、専門は国際人権法)と執筆している。 同書は、タイにおける民主主義の現状分析と政策提言を行なったもの。タイの将来は、民主主義が制度化され、民主的手続きがタイ国民の多数にとって意味のあるものとならない限り、確かなものとはならないだろうと予言している。

 2007年3月14日にはテンプルトン賞を受賞。また、ジャン・シャレ ケベック首相によって、ケベックの文化的相違の調整審議担当者に任命されている。

2007 Charles Taylor

 

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中