『経済セミナー』5月号

日本評論社が出版している『経済セミナー』今月号のテーマは「日本経済は大丈夫か?」。
なかなかの力作揃いで、とっても勉強になった。
 
まずは竹中平蔵先生。
竹中先生が原稿を書いていた今年の3月17日の為替レートは1ドル=97円だったそうだ。株価も1万2千円を割っていた。
ちなみに、本日の為替レートは1ドル=105円。株価は5月2日付で1万4千円台に回復。
「地方が病弊したのは、都市では改革がある程度進んだものの、地方では改革が進んでいないためである」という判断は、小泉改革のキーパースンだった竹中先生らしい。
私には、もちろん、この判断の是非を分析するだけのデータや分析手法に関する知識はないのだけど、こういう文章を読むと、人間というのはどういうことをするにせよ、勇気が必要なのだと思う。
社会科学の世界では、様々な見方、立場が併存可能である。
そして、異なった立場から同じ政策が導かれたりすることもある。
しかし、どんな見方、政策も100%正しいということはない。
まして、既得権を犯すような政策は必ず反対がある。その時、誰に対しても良い顔をしようとしたら、何も出来ないで終わるだろう。
竹中先生は、そういう意味では終始一貫した学者である。
 
次は小塩隆士先生。小塩先生は、実は経済企画庁に勤務されていた時、青山学院大学で非常勤講師をされていて、私も講義を取っていた。
この小塩先生。1995年以降拡大していた日本国内の所得格差は2000年以降、縮小に転じていることを具体的なデータに基づいて実証している。
その上で、小塩先生は現在の日本では経済格差は縮小しているが、2000年代に入って、高所得層が減り、低所得層の厚みが増していることを明らかにしている。
「みんな仲良く貧乏に?」と小塩先生は書いている。
 
最後は浜矩子先生。私が日本ユニセフ協会で最後に担当した国際シンポジウムでパネリストを務めてくださった方。
サブプライムローンがなぜ、日本経済と繋がっているのか、を平易な文章で解説している。
要するに、サブプライムローンが証券化されて、国際金融市場の中に入り込んだ結果、サブプライムローンの焦げ付きが、世界的に負の連鎖を引き起こしたということである。
ところが、その背景には日本の長引く超低金利によって、国内で金利を稼げなくなったジャパンマネーが外貨に交換されて、海外にあふれ出し、世界的な過剰流動性を生み出していたという現象があったと浜先生は書いている。
その結果、過剰な資金はハイリターンを追って、ハイリスクの証券化されたサブプライムローンを含む金融商品に向かった。
サブプライム・ショックで、米ドルから退避しようとした資金が円に向かい、円が買われた結果、急激な円高が生じたというのが浜先生の説明。
問題は、日本国内に投資先が少ないことなのだ。
そして、このことはバブル崩壊の頃からずっと言われていた。
規制緩和による魅力ある投資機会の創出。
サブプライム・ショックが一段落した現在、円に退避していた資金の多くは再び外貨になって、海外に向かったらしい。
投資先として魅力ない日本。
この辺りが今後の日本にとって最大の課題でしょうね。
 
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