マイケル・イグナティエフ『正しい刑罰の方法』

"A Just Measure of Pain"
この本は、マイケル・イグナティエフがジャーナリストに転身する前の1978年に出版したもの。
マイケル・イグナティエフは、1975年にハーバード大学から歴史学の博士号を取得、1976年から1978年までブリティッシュ・コロンビア大学の準教授を務め、1978年から1984年までケンブリッジ大学キング校の上級研究員を務めていたから、この本はブリティッシュ・コロンビア大学時代に完成させたものと思われる。
今月25日の政治思想学会での発表のために、この本を初めて本格的に読んで、イグナティエフが如何に優れた歴史研究者であったのか、実感した。
明確な課題の設定と、その課題を論証する緻密で説得力のある論述振り、原資料の巧みな引用の仕方は、本当に一流で、彼がなぜ「学者としての将来が見えない」と思ってBBCに転身したのか、分からない気がするほどの傑作である。
だいたい、歴史研究というのは、自然科学と全然違って、十人十色の見方があり得るもので、結局は原資料の制約の中でそれぞれの学者が生み出す「物語」なのだと私は思っている。
そして、その「物語」がその時代の精神を反映していれば、広く受け入れられ、さらに普遍的洞察が含まれていれば、時代を超えて読み継がれるものなのだ。
もっとも、そんな作品を生み出せるのは、もちろん、ランケとか、近年で言えばポーコック、スキナーのような超一流の歴史家だけである。
 
イグナティエフのこの作品は、しかし、イグナティエフが当時31歳だっとことを考えると、卓抜した内容と記述の様式を備えていると思った。
私は、昨年からチャールズ・テイラーの『ある世俗の時代』を読んでいるのだけど、イグナティエフの歴史を見る目は現在のテイラーのパースペクティブに匹敵する広さと持っているように思った。
 
まぁ、凡人の自分としては、こつこつ勉強する以外にありませんね。スマイル
 
 
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