ブラジル会議現地報告

25日夕方のオープニングで始まった世界会議。
昨日(26日)から本格的な議論が始まった。
オープニングでは、日本の西村外務政務官が素晴らしいスピーチをされた。
第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議の主催国を引き受けてから、日本政府はこの問題に本当に真剣に取り組んできたし、今回、正式なゲストとしてブラジル大会に招待されたのも、これまでの実績が評価されたからである。
政治や経済分野でのニュースに隠れがちだけど、日本という国は良いこともいっぱいやっている。
私は、研究者への道を志して、外務省も日本ユニセフ協会も辞めた人間なのだけど、それぞれの組織で働いたことは今でも誇りに思っている。
 
昨日(26日)朝の第1回目のプレナリーでは、ECPATの国際議長であるアミハン・アブエバさんと前事務局長のミリアム・オブライエンさんが、今回の世界会議の方向を定める基調的な報告を行った。
二人とも、子どもの商業的性的搾取の問題に対する献身的な取り組みでは、世界的に知られる活動家。
そして、前回の横浜会議でも感じたのだけど、この問題で世界をリードしているのは、やはりECPATである。
 
アミハンさんは、子どもの商業的性的搾取に対する2001年以降の世界的な法整備(パレルモ条約、子どもの権利条約の子ども買春選択議定書、ILO182号条約)の成果に言及したあと、被害者となった子どもに対するケアや回復支援は、国際的基準に則って行われるべきであると強調した。
子どもは権利の主体として、国際子どもの権利条約によって、暴力から保護を保障されているのであり、所在地によって受けられるケアが異なってはならないというは、まさに子どもの権利の人間観、子ども観に基づく正論である。
そのあと、子どもを人身売買から保護するさまざまな技術が2001年以降開発されたこと、人身売買問題に取り組むための国内制度の整備が進んだこと、広範囲な良い実例が蓄積されたことなどを評価しつつ、それらの人身売買問題に対する取り組みが、人身売買の被害者となった子どもに対する十分な関心なしに進んでいることに懸念を表明した。
この点は、実は私も日本の人身売買問題に取り組んでいて、最近感じ始めていたことで、自分の問題意識が世界各地の人々と同じであることが確認できて、たいへん心強い思いがした。
アドボケートというのは、単なるリサーチャーではなくて、時代の流れ、関係する人々の心を掴む能力が必要だと思うのだけど、アミハンさんは本当に優れた子どもの権利活動家だと思う。
そのあとも、子どもの人身売買については十分な証拠がないこと、人身売買の被害者として子どもを認定する上での困難など、現在、世界が直面している具体的な課題を次々と列挙していった。
 
とりわけ、現在多くの先進国が人身売買被害者を送り出し国に帰国させることを最優先にしている点を批判して、被害者が帰国した際に直面するであろう危険(リスク)を十分に調査した上で、帰国させるべきかどうかを決定すべきであるという提言はまさに現在の日本にも当てはまる課題だと感じた。
なにしろ、今月19日に行われた日本政府との非公式会合で話し合われた内容そのものが、アミハンさんの口を通じて世界が現在直面している課題として語られわけで、まぁ、これは本当にECPATという組織が、各国の草の根レベルできちんとした活動と情報収集を続けてきたことの証拠である。
素晴らしい組織だと思った。
 
アミハンさんは、また、人身売買の需要サイドを理解することの重要、効果的な保護制度の確立の重要性にも言及していた。
 
そして、人身売買被害者保護と予防のための法律成立を目指して活動している者にとって有益だと思ったのは、人身売買に関する法律の影響(インパクト)について評価する必要があるという提案。
 
そして、子どもの性的搾取問題を解決するためには、子どもへの暴力を促進している社会や個人の価値観や信条を変えなければならないという提案には、本当に共感した。
法律だけでは、人間の心は変えられない。
 
プレナリーのあと、午前11時からは日本ユニセフ協会の東郷副会長が報告をする分科会に参加。
東郷さんは、子どもの商業的性的搾取問題に関する日本ユニセフ協会の取り組みと今後の課題について報告された。
以前よりずっと流暢な英語で、的を得た報告をされた。
そのあとの質疑応答で、米国務省人身売買対策室の職員の方が、米国ではセックスツーリズムを規制する行動綱領(code of conduct)が普及していないと発言、どのように普及を進めたら良いか、東郷さんに質問していた。
私が日本ユニセフ協会で働いていた時からそうだったけれど、東郷さんには欧米人に対して卑屈になるところが少しもない。
今回も、米国務省の担当者に対して、本当に熱心に自分の日本での体験に基づくアドバイスをしていた。
 
まだ、初日が終わったばかりなのだけど、今回の世界会議も、世界を変えていくのは志のある個人の想いなのだと実感した。
アミハンさん、オブライエンさん、東郷さん。
そして、今回の世界会議にも参加されているロン・オグレディさん。
一人でも多くの子どもたちを性的搾取という暴力から守りたいという彼らの想いが、この世界会議を再び大きな成功に導こうとしている。
 
こうやって、素晴らしい歴史が作られているのだと思った。
 
ブラジル会議。
サイコーです。スマイル
 
 
 
 
 
 
 
 
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