鈴木邦男『愛国者は信用できるか』、孫崎享『日米同盟の正体 迷走する安全保障』

ずいぶん前から、右翼と呼ばれる人たちのほうに素晴らしい論客がいるという話をちらほら聞いていたのだけど、この鈴木邦男さんも、まさに右翼という経歴の人なのだけど、実践型知識人としてよく勉強し、よく考え、自分の意見を練り上げてきた方だと思う。
その鈴木さんが、傲慢で偏狭、押しつけがましい「愛国者」が急に増えた最近の日本を憂えて書いたのが、この本。2006年5月に講談社現代新書として出版されている。
その中で、日本の右翼の元になったと云われる、明治14年(1881年)結成の玄洋社を取り上げている。
その憲則に曰く。
第一条 皇室を敬戴すべし
第二条 本国を愛重すべし
第三条 人民の権利を固守すべし
 
もちろん、私が注目したのは、第三条。
日本の右翼って、本来は人権尊重主義者なのだ。
21世紀になって日本各地で人権バッシングが起きていて、人権活動に関わる人たちは、皆苦労しているのだけど、そういう風潮には玄洋社の理念を持ちだして対抗するというのも良いかも知れない。
 
また、慶応大学の小林節教授と会った時の話も秀逸。
小林先生に会った時、聞いてみた。「自民党の改憲案の何が一番気にくわないのですか」と。即座に小林先生は言った。「愛国心を強制しようとすることだ」と。「憲法に書いたからといって国民は愛国心を持つものではない。また政治家がそんなことを言うのはおかしい」と言う。政治家は、国民がこの国を愛せるような国にするのが責務だ。そのために仕事をするのだ。それを忘れて、国民に対し、「この国を愛せ」と言うのはおこがましい、と言うのだ。(70頁)
 
最後の言葉も良い。
愛国心は国民一人一人が、心の中に持っていればいい。口に出して言ったら嘘になる。…どうしても言う必要がある時は、小声でそっと言ったらいい。(192頁)
 
孫崎さんは、鈴木さんとは、ある意味で正反対のハト派の外交官。
こちらの本も講談社現代新書。2009年3月に出版されたばかりである。
孫崎さんはイラク、イラン等に在勤したエリート外交官で、退官後は防衛大学校教授を務めている。
日本における戦略論の草分けである岡崎久彦さんが国連情報局長だったときに分析課長を務めたとのこと。
 
ところが、その主張は岡崎さんとは正反対で、日米関係一辺倒となっている(と言われている)現在の日本外交に対する厳しい批判が基調となっている。
この本は分析を超えて主張する本である。それは現在の米国、それとの協調を進める日本の政策が危機的状況にあることを反映してのことである。日米双方共、流れを変えることに真剣に取り組まなければならない時に来ている。論者の側にも蛮勇が必要な時代となった。その時代を反映して、この本は主張する本となった。(259頁)
 
日本もどうやら、内憂外患の事態に直面して、百家争鳴の時代を迎えたらしい。
勉強し甲斐のある時代がやって来たものである。
 
私も一生懸命やりたいと思います。
 
 
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