子どもの暴力に関する国連特別報告者にマルタ・サントス・パイスUNICEFイノセンティ所長が任命されました

今年最高のニュースです!
国連子どもの権利委員会の創設者の一人で、ユニセフ・イノセンティ研究所の現所長であるマルタ・サントス・パイスさんが、子どもの暴力に関する国連特別報告者に任命されました。
 
パイスさんは、昨年11月にブラジルで開催された第3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議にも出席、数多い参加者の中で唯一、2002年5月にニューヨークで開催された国連子ども総会で採択された最終文書「子どもにふさわしい世界」に言及、世界の子どもの権利活動家たちに、自分たちが拠って立つべきところと、今後の進むべき方向を明確に示しました。
 

<ところで、私にとってたいへん興味深かったのは、2002年に開催された国連子ども特別総会で採択された最終文書『子どもにふさわしい世界』に対する言及が殆ど無かったことである。ユニセフ・イノセンティ研究所長のマルタ・サントス・パイスさんだけは、ミレニアム開発目標と並べて、『子どもにふさわしい世界』にきちんと言及していたが、会議最終日に公開されたブラジル宣言文(原案)の中にも、『子どもにふさわしい世界』への言及はなかった。

  90年代なかばから子どもの権利の世界で生きてきた私にとって、これはたいへん不思議な現象に思えた。 

2001年は、もちろん911日に米国同時多発テロが起きて、同月に開催が予定されていた国連子ども特別総会が延期された年である。そのあと、同年12月に横浜会議が開かれ、翌20025月にやっと国連子ども特別総会が開催された。

しかし、その頃にはすでに世界の関心はイラク問題に向かっていて、子どもの人権に対する関心は大きく低下していたように思う。

今から振り返ると、アフガニスタンに対する武力行使とイラク戦争の挟間で開催された国連子ども特別総会に対して、世界の関心が届かなかったのはやむを得ない事態だったのだろう。

  しかし、その間、世界の子どもの権利に関わるUNICEFや世界各国のNGO、専門家、子どもたちは協力して、限られた範囲ではあるけれども、これまであまり注目されていなかった家庭内、学校内での子どもへの暴力を取り上げて、『子どもへの暴力報告書』を作成、2006年の国連総会で発表した。

  アフガニスタンへの武力行使、イラク戦争という世界的な事件の中で、『子どもへの暴力報告書』は、子どもの権利、子どもの最善の利益というものに世界の関心を惹きつけ続ける役割を果たしたのだと思う。

ただ、子どもへの暴力については、『子どもにふさわしい世界』の中で、(1)一般的暴力、(2)武力紛争、(3)児童労働、(4)性的搾取と人身売買という4つのカテゴリーを立てて、包括的な達成目標を定めており、この枠組が子どもの保護を考える上での国際的な基準となっている。

今回の世界会議に参加していた世界のNGO関係者の中にも『子どもにふさわしい世界』の重要性を否定する者は誰もいなかった。やはり、巨大な歴史の出来事の中でその存在が埋もれてしまったというのが正しい見方なのだろうと思った。

  したがって、ブラジル会議以降の課題は、子どもの性的搾取・人身売買問題を『子どもにふさわしい世界』、そしてミレニアム開発目標などのより大きな枠組の中できちんと位置付け、その解決に取り組むということであると私は考えている。

 「子どもにふさわしい世界」の復活。

 ブラジル会議は素晴らしい宿題を世界の子どもの権利活動家に残して閉幕した。>

森田明彦3回子どもと青少年の性的搾取に反対する世界会議―『子どもにふさわしい世界』の復活へ!」てのひらの会会報への寄稿文からの抜粋)

 

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