中谷巌『入門マクロ経済学』4版(2000年4月15日)

2000年4月といえば、小渕恵三総理(当時)が脳梗塞を発症した月。
そのあと、森内閣を経て、2001年4月には小泉内閣が成立した。
構造改革路線の始まりである。
 
その構造改革を理論的に主導したのが中谷先生。
その中谷先生による、マクロ経済学の入門書がこれ。
ちなみに2007年には第5版が出ている。
 
この本の中に、固定為替相場制と変動為替相場制における国際マクロ経済モデルの説明が出ている。
マクロ経済学入門書として高い評価を得ている本だけあって、その説明はたいへん分かり易い。
 
変動為替相場制とは管理通貨制度のことである。
管理通貨制度の前に採用されていたのが金本位制である。
金本位制=固定為替相場制
管理通貨制度=変動為替相場制
金本位制のもとでは、各国政府は国庫が保有する金の分量に見合った通貨量しか発行できない。
したがって、その国が経済的に発展して輸出が増え、より多くの外貨を得るようになると、外貨=金なので、国内通貨も増加する。
通貨が増えると、物価は下がるので、所得が変わらなければ利子率が低下する。
すると、海外の高い金利を求めて海外に資金が流出するので、金利は再び海外と同じレベルに戻る。
ただし、その際には物価は以前より低い水準で均衡しているので、名目価格ベースの国民所得は低下している。
つまり、金本位制(固定為替相場制)のもとでは、内外金利格差は、国内の通貨供給量の増減によって調整されることになる。
したがって、固定為替相場制のもとでは財政政策は有効、金融政策は無効であるとされる。
この説明はたいへん分かり易い。
 
これに対して、変動為替相場制の説明は、自分にはちょっと理解し難い。
変動為替相場制のもとでは、一国の中央銀行は内外金利格差により外国資本が流入したり、流出した場合でも、それに応じて国内通貨量を増減させる必要はなくなる。
したがって、国内の金利が海外の金利より低いために、国内資本が海外に流出した場合には、国内の通貨流通量は変化しないので、内外金利格差は国内物価の上下による名目価格の国民所得の増減が引き起こす為替レートの変化を通じて解消される。
この場合には、財政政策は無効、金融政策は有効であるとされる。
しかし、日本国内の投資家が海外で投資をしようとした場合、日本円で投資ができない以上、その投資家は自分の手もちの円を外貨に換える必要が出てくるのではないか?
逆に、日本国内に投資をしようとする海外投資家は自分の手持ちの外貨を日本円に換える必要がある。
したがって、国内金利が低く、国内の資本が海外に投資の機会を求めて流出した場合には、変動為替相場制(管理通貨制度)の下であっても、国内で流通する円の量はやはり減少するのではないか?
もちろん、変動為替相場制のもとでは、中央銀行が意図的に円の流通量を増やしてその減少を相殺することは可能である。
但し、実質所得が増えないで、通貨流通量だけ増えれば、国内では物価は低下することになる。
実際に、日本国内では90年代はじめから、ずっと低金利と物価低下が続いている。
一方、日本銀行はインフレを警戒して、通貨流通量を増やすことには慎重であるというのが、これまでの通説である。
この辺りはもう少し勉強してみる価値がありそうである。
 
 
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