児童ポルノ(6)

昨日の衆議院法務委員会における児童買春・児童ポルノ禁止法改正案に関する議論を聴き直してみました。
たいへん有意義な議論、(参考人による)意見があり、私も勉強になりました。
 
とりあえず、私の今の立場をもう一度はっきりさせると、
(1)児童ポルノの単純所持については、それが被写体とされた実在の子どもの人権侵害であるという事実を考えれば、自己鑑賞目的だから(処罰対象から)免除されるべきという議論は成立しないと思っています。つまり、単純所持も処罰すべきです。
(2)その際、自白を要件とせず、客観的要件のみだけで立件できるようにするために、「反復して取得」「有償で取得」という定義を入れて、現行児ポ法第2条3項3号を削除し、同2項に「ことさらに児童の肢体が露出さら、強調された描写」という文言を追加するという民主党案は、葉梨議員が指摘し、枝野議員がきちんと答え切れていなかったように、逆に、構成要件として曖昧になるのではないかと思いました。
したがって、現時点での自民党案、民主党案を前提にすれば、児童ポルノの定義については、自民党案を取るべきと思いました。
(3)ただし、児童ポルノの定義を広げる以上、冤罪を避けるためにも、裁判所制度以外に個人申し立て等の救済制度を同時に整備すべきであり、さらに政府から独立した人権オンブズパースン制度や人権委員会の設置を同時に進めるべきであり、また、国内的救済措置を尽くして依然、冤罪の被疑者の救済が実現しなかった場合に備えて、各国際人権委員会に対する個人通報制度を利用できるように、各人権条約の選択議定書を日本政府は署名・批准すべきと思います。
(4)擬似児童ポルノないし準児童ポルノについては、性犯罪との関係を確認するための科学的調査をただちに始めるべきと思います。要するに、自民党案が良いと思いました。
(5)児童ポルノの被害者保護については、一場弁護士が云われていたように、福祉面での支援だけではなく、司法手続きにおける「子どもの優しい手続き」の導入もぜひ検討すべきと思いました。その点を加えて、民主党案を取るべきと思います。
 
この法律は1999年に出来たのだけど、その時、そして、その後も本当に熱心な議論が戦わされ、法律は国民の代表である国会議員が作るべきものという民主主義の原則にもとづいた制定および改正プロセスが継続している。
これは、もちろん、日本ユニセフ協会がこの問題について継続的にキャンペーンを続けてくれているお陰でもある。
こういうプロセスが続けば、法律というものは、何か天から降ってくるものではなくて、国民一人一人が作っていくべきものだという感覚が日本の社会に定着していくと思う。
 
その意味でも、こういう法律は特定官庁の所管にして、役人に任せ切りにするのではなく、市民社会と国会議員、そして役所が意見と知恵を出し合って、よりよいものにしていくべきだと思っています。
 
 
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児童ポルノ(6)」への3件のフィードバック

  1. 読解力不足のせいか、文章がわかりづらいです。>それが被写体とされた実在の子どもの人権侵害であるという事実↑この「それ」は、単純所持のこと? それとも、撮影された行為自体を指しているの??前者と仮定した場合、自己鑑賞目的で、鑑賞者が被写体に対して、具体的に権利侵害を犯す行為はなに??外的映像に基づき、内心あるいは想像上で実在の子どもを嬲るのは、確かにモラルの点で糾弾されてしかるべき行為かもしれないけど、憲法で保障された内心の自由との兼ね合いは、どうなるの?? それが許されないとすれば、そのヒト達の記憶や妄想からも、被写体を全消去しなきゃ、完全に解決したことにはならないような気がするが。。。発展的に考えれば、疑似児ポ禁問題と表現の自由の問題も絡んでくると思う。基準としては、かなり厳格な基準、そう、例えば、「明白かつ現在の危険」の基準あたりが採用するのが、落ちどころって感じはしますね。戦前、官憲が真っ先にやり玉に挙げたのが、「エロ」「グロ」「ナンセンス」だったわけだし。リベラルで通ってる自分も、どちらかというと、護憲って点では、伊藤真くんの考えに近いのかも知れないネ。

  2. 興味深く読ませて頂きました。しかし、あなたの意見には賛成ではありません。明確に定義したり、解釈がぶれないものは確かに放置社会においては必要でしょう。しかし、そもそも、児童ポルノという名の下、お風呂場で仲良く遊ぶ押さないわが子の姿を写真で写すことすら禁じられてしまうという、表現の自由を制限するということについてはどのように対処するのでしょうか? 先進国G8では日本とロシアだけが単純所持を許している、といいますが、児童ポルノのサイトを運営する国は、アメリカ、オランダ、ドイツの3国が大手であり、児童ポルノサイトの85%を占めています。そして、これらの国は単純所持を禁じているのです。単純所持を禁じることにより、いったい何の効果を得ようと考えているのでしょうか?日本の児童に対する性犯罪率は、G8の中でも群を抜いて低いのが現状です。まず、正すべき現状があり、目標を設定し、そのための最良の方策を選ぶというのがよき政治家ないしは行政と思いますが、なぜ日本がそれほど欧米に追随しなくてはいけないのか、もっと現状を諸外国にアピールするべきではと思います。

  3. ルイス・キャロルの写真は、やはりある意味で性欲を刺激するところにやはり意味があるわけで….芸術を芸術たらしめるのも、まさにそこにあるわけで….やはり単純所持を処罰するという主張は、空中戦の様相を呈していると思います。

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