児童ポルノ(7)Tamuraさん、Hajimeさんへ

Tamuraさん、Hajimeさん、貴重なコメントをありがとうございます。

 

まず、Tamura Toshiさんへ

(1)児童ポルノの定義が明確ではないというコメントについて

児童買春・児童ポルノ等禁止法第2条3項は「児童ポルノ」を以下の通り定義しています。

 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。

一  児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態

二  他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

三  衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

 

一方、2000525日に国連総会で採択された「子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」(日本政府は2002510日に署名、200482日に批准)は、同第2条(c)項で、子どもポルノを以下の通り定義しています。

「子どもポルノグラフィーとは、実際のまたはそのように装ったあからさまな性的活動に従事する子どもをいかなる手段によるかは問わず描いたあらゆる表現、または子どもの性的部位を描いたあらゆる表現であって、その主たる特徴が性的な目的による描写であるものを意味する」。

 

 日本の児ポ法と、子どもの権利条約選択議定書を比べると、日本の児ポ法のほうが定義は明確ではないでしょうか?

「(親が撮った)お風呂場で仲良く遊ぶ我が子の写真」は、児ポ法の定義では処罰の対象にはなりません。

 

(2)なぜ、単純所持を処罰する法律が必要なのか?

上記の議定書第3条第1項は、「各締約国は、最低限、次の行為および活動が、このような犯罪が国内でもしくは国境を越えてまたは個人的にもしくは組織的に行なわれるかを問わず、自国の刑法において全面的に対象とされることを確保する」と定め、子どもポルノに関しては、同条1項(c)で、「第2(c) で定義された子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持すること」と定めています。

つまり、同議定書では、最低限、子どもポルノグラフィーを製造し、流通させ、配布し、輸入し、輸出し、提供し、販売し、または上記の目的で所持することを取り締まることを求めています。

さらに、国連子どもの権利委員会は、チリ政府およびコスタリカ政府の政府報告書に対する最終意見において、子どもポルノの単純所持も禁止することを求めています。UN Committee on the Rights of the Child, Consideration of Reports submitted by States Parties under the OPSC, Concluding Observations on the Chile, op.cit.,paras 23-24 and on Costa Rica, op.cit.,paras 14-15 and 24-25.

 

1998年当時、世界的な子どもポルノの摘発を目的として国際捜査協力「大聖堂作戦」が実施されたとき、日本は単純所持を処罰する根拠法規がないということで、この作戦に参加できませんでした。子どもポルノの単純所持の処罰化は日本がG8諸国だから必要というだけではなく、日本が国際社会にきちんと貢献できるようになるためにも必要なのです。

特に、インターネットを通じて瞬時に画像が国境を越えて移動する現代社会では、子どもポルノを取り締まる上で世界共通の基準に基づいた国際的な連携は不可欠であると思います。

 

 

Hajimeさんのコメントについて

「自己鑑賞目的で、鑑賞者が被写体に対して、具体的に権利侵害を犯す行為はなに??

 

Hajimeさんは、ご自身が密室で裸にされて性的に虐待され、その様子を映像に撮られた場合でも、その映像が自己鑑賞目的で保有されるのであれば、自分が性的に虐待されている映像がこの世の中に残っても良いというお考えでしょうか?

実際に子どもポルノの犠牲者になった子ども達にとって、その映像がこの世の中に残り続けるという事実がその子ども達の尊厳と人権の侵害になるというのは、明白なことではないでしょうか?

また、質問ですが、「明白かつ現在の危険」基準は、自由民主主義体制の根幹を揺るがすような政治的表現の伝達(文書による政府転覆の扇動など)に適用されるもので、準児童ポルノのような猥褻な(indecent)表現物の規制に適用されるものではないように思うのですが、具体的に、この基準が適用された判例があるのでしょうか?

 

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児童ポルノ(7)Tamuraさん、Hajimeさんへ」への2件のフィードバック

  1. 質問に対して、質問で返すのは御法度というか無礼を承知でやってくるんだから、コマッタもんですが、ここは寛大に大目に見ます。何、当たり前のことをいまさら言っているんだか。インタネ内の自己情報コントロール権は、認められていないでしょ。認めろって議論はあるけど、インタネの適性上、それやっちまうと、しっちゃかめっちゃかになる例は、先日の西さんの例じゃないけど、最早、インタネ内では常識なわけでしょ。次に、明白かつ現在の危険の基準だけど、判例がなければ、これから作れば良い訳です。私の主張は、それだけ厳格な表現の自由に対する基準を導入しろと言っている訳です。実際、それで十分取り締まれます。基準の3要件は、あなたの主張をも満たしているケースが殆どでしょう。私が言っているのは、売ったり、ばらまいたりする不遜の輩を潰せと言っている。それによって具体的な精神的苦痛が生じたりする事態は、何としても、従来の権利に制約を加えてでも、今すぐにやれと言っている。ですが、単純所持は、個人の嗜好や信条やプライバシーが絡んでくる問題です。法的に、ギチギチやるのは、逆効果だと申し上げている訳です。あなたが敢えて、全く触れられていない、「内心の自由」の問題を最重要視している訳です。本来、モラルの問題は、体制がそこまで踏み込むのは、我が国の国民性にそぐわないし、望ましくないと考えている訳です。もちろん、あなたの仰りたい事も、心情的には理解できますよ。ですが、それをやることが、返って事態を悪化させることを理解願いたい。節度が失われ、巨大な悪の巣窟、いわゆる「UGワールド」が形成されるのは、目に見えています。非合法化するのは簡単です。ですが、法の為にヒトがいるのではなく、ヒトの為に法があることをお忘れなく。

  2. 日本の児ポ法と、子どもの権利条約選択議定書を比べると、日本の児ポ法のほうが定義は明確ではないでしょうか?>「(親が撮った)お風呂場で仲良く遊ぶ我が子の写真」は、児ポ法の定義では処罰の対象にはなりません。 残念ながらお風呂の写真も(親が撮ったとしても)「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」かつ「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ですので、児童ポルノ禁止法における児童ポルノに該当します(性欲刺激要因に、猥褻物規制法における「徒に」が無い為、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の基準が厳しく見積もられています)。 欧米で認められている(つまり、ネットを含め合法的に出回っている、性的虐待によるものではない、かつ、公開が虐待とならない)単純なヌードなども日本の3号ポルノでは違法に当たります。よって、児童ポルノを集める意思がなくとも、成人ヌード収集目的でネットサーフィンなどを行っている際に簡単に所持してしまう恐れがあります。それは児童も同様です。 よって、収集罪や所持罪からは3号ポルノを外す必要があると考えられます。性器の誇張等がある場合は虐待性があると判断すべきですので、収集罪は罪に問うべきでしょう(所持罪については、児童の権利を守る為にもまず捜査や取締の可視化が不可欠だと思われます)。>実際に子どもポルノの犠牲者になった子ども達にとって、その映像がこの世の中に残り続けるという事実がその子ども達の尊厳と人権の侵害になるというのは、明白なことではないでしょうか? 日本に限らず世界も含め子どもポルノにも幅があります。日本の児童ポルノ禁止法では、「性的虐待による生成物、または、公開その物が必ずしも虐待と言えない物」をも含んでおりますので、『尊厳と人権の侵害になる』かどうかは必ずしも明白であるとは言えません。>また、質問ですが、「明白かつ現在の危険」基準は、自由民主主義体制の根幹を揺るがすような政治的表現の伝達(文書による政府転覆の扇動など)に適用されるもの 争点として争われてないので判例としては残っておりませんが、映画館などで火事でも無いのに「火事だ!」と煽る行為などが表現の自由として護られないのは、その為だと言われております。>準児童ポルノのような猥褻な(indecent)表現物の規制に適用されるものではないように思うのですが、具体的に、この基準が適用された判例があるのでしょうか? 創作物におけるポルノ表現では、そもそも明確な人権侵害表現が少ないため、そもそも該当しないと考えられますが、実写児童ポルノにおいては(争点として争われてないので判例としては残っておりませんが)児童福祉法や児童ポルノ処罰法において適用されていると考えられます。 創作物におけるポルノ表現については保護法益上の問題から、児童ポルノ禁止法で考えるべきではありません。猥褻物規制法か各種条例、あるいは新法によって考えるべきです。

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