児童ポルノ(8)

犬さま。

いつもよく調べた、そして考えられたコメントをいただき、誠にありがとうございます。

私もたいへん勉強になっています。

 

そのうちの以下のコメントについて

<残念ながらお風呂の写真も(親が撮ったとしても)「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」かつ「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ですので、児童ポルノ禁止法における児童ポルノに該当します(性欲刺激要因に、猥褻物規制法における「徒に」が無い為、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の基準が厳しく見積もられています)。
欧米で認められている(つまり、ネットを含め合法的に出回っている、性的虐待によるものではない、かつ、公開が虐待とならない)単純なヌードなども日本の3号ポルノでは違法に当たります。よって、児童ポルノを集める意思がなくとも、成人ヌード収集目的でネットサーフィンなどを行っている際に簡単に所持してしまう恐れがあります。それは児童も同様です。
よって、収集罪や所持罪からは3号ポルノを外す必要があると考えられます。性器の誇張等がある場合は虐待性があると判断すべきですので、収集罪は罪に問うべきでしょう(所持罪については、児童の権利を守る為にもまず捜査や取締の可視化が不可欠だと思われます)>

 

確かに、2008411日、放送倫理・番組向上機構(BPO)青少年委員会は、「児童の裸、特に男児の性器を映すことについて」と題した注意喚起の文書を公開し、その中で以下のケースを問題と指摘しています。

(1)お笑い芸人の自宅での入浴シーンで6歳と11歳の兄弟の性器が写っていた。

(2)ニュース番組で小学生の強化合宿に密着取材し、小学6年の男児が合宿所で局部丸出しの状態で入浴しているシーンをモザイクやボカシ等の映像処理もなく、そのまま放送していた。

 

しかし、児童買春等禁止法に基づいて、このようなケースが立件され、有罪判決が下されたことはないように思うのですが、如何でしょうか?

また、6月26日の衆議院法務委員会で行われた同法改正案に関する審議、特に葉梨議員による枝野議員に対する質問ではっきりしたように、「徒に」とか「殊更に」という表現はそれ自体さまざまな解釈が可能であり、必ずしも客観的な限定基準として機能するものではないと思います。

実際にチャタレイ事件以来、「徒に性欲を興奮させ又は刺激するもの」という猥褻概念も時代とともにその解釈は変容してきていると思います。

 

つまり、児ポ法における子どもポルノの定義についても、これまでの判例に基づいて、考える必要があると思うのです。

すると、犬さんが指摘されるようなケースは「理論上そのように解釈することは可能であるが、実際の判例において、そのような解釈が行われたことはない」ということになるのではないでしょうか?

 

繰り返しですが、私は児ポ法改正によって、冤罪が増えたり、国家権力による私的空間への介入が増大するという事態は望ましくないと考えています。

しかし、前田首都東京大学教授が言っておられたように、そのために、子どもポルノの定義を現行のものより限定的なものにするというのは本末転倒だと思います。

やはり、これまでの判例を踏まえつつ、適切な定義を考えていき、一方で冤罪を予防するために個人申し立て制度や人権擁護委員や国内人権委員会のような駆け込み寺を整備し、さらに国内で救済手続きを尽くしてなお冤罪が晴れなかった場合に備えて、各種人権委員会に対する個人通報制度を実現するという方向が望ましいように思います。

 

 

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児童ポルノ(8)」への2件のフィードバック

  1. 丁寧なレスありがとうございます。>「理論上そのように解釈することは可能であるが、実際の判例において、そのような解釈が行われたことはない」ということになるのではないでしょうか? 芸術ヌード写真集等においては、有罪となった判例も多々あるようです。個人の成長記録については把握しておりませんが、少なくとも所謂ロリコン雑誌等に掲載された「お風呂の写真」等が有罪となったケースはあるようです(勿論、それは有罪でいいのですが)。 何れにせよ、現行児ポ法では、虐待性より性的刺激要因が重要視されますので、(年齢が低い方が「自己決定権の範囲から外れる」=「虐待が疑われる」にもかかわらず)「17歳の芸術ヌード」と「10歳の芸術ヌード」では「17歳の芸術ヌード」の方が違法物扱いされる可能性は高くなってゆきます。今後どうなるかは仰る通り運用次第だろうと思われますが、虐待性より性的刺激要因が重要視されている状況は、法文が変更されない限り続くと思われます。>前田首都東京大学教授が言っておられたように、そのために、子どもポルノの定義を現行のものより限定的なものにするというのは本末転倒だと思います。 前田教授が懸念しているのは、子どもの人権の観点からではなく、(警察官僚への配慮から)定義が変わる事による現場の一時的な混乱が生じる事を嫌っているからです。 民主党が子どもポルノの定義を現行のものより限定的なものにしようとしているのは、「所持・取得に罰則を設けるとなると、基準を国際的な物に擦り合わせないと弊害が大きくなり過ぎる」と言う事であり。また、限定的なものにするといっても国際基準に合わせると言う事ですので、決して「本末転倒」とは言えないと思います。 とはいえ、わが国においては、芸術ヌードの解禁にも様々な問題が発生しうる現状がありますので、児ポ法の定義はそのままで、「取得罪を適用する範囲のみを国際基準に合わせる」方が、より良いとは思いますが。

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