児童ポルノ(14)非実在創作物の児童ポルノについて

健さん、技術屋さん、犬さん、りすさん、そしてsave childrenさん。
詳細かつ多岐にわたるコメントとご質問をありがとうございます。
ずいぶんといろいろなことがはっきりしてきたと思います。
 
1.芦部信喜先生(『憲法』新版補訂版第9刷、岩波書店、2002年)も、辻村みよ子先生(『憲法』第4刷、日本評論社、2002年)も、わいせつ罪の保護法益として、性風俗の維持、抵抗力の弱い青少年の保護を挙げています。また、下記の平成17年の松文館事件での高裁判決も、この定義を採用しています。
また、わいせつ文書の定義はチャタレー事件で3要件が確定し、その後も、この3要件が維持されています。
つまり、わいせつ文書が社会法益を侵害するということは、これまでの判例を見る限り、確定した社会通念であると判断されていると思います。
 
2.その上で、平成17年の松文館事件での高裁判決は以下の地裁判決の判断を支持すると書いてあります。
「「サイバー犯罪に関する条約」の締結批准に向けた法整備のための諮問を受けた法制審議会において、刑法175条の処罰範囲を電気通信の送信によるわいせつな電磁的記録のその他の記録の頒布等といったいわゆるサイバーポルノに拡張するための改正が、全会一致で採択されたことは、我が国の法律専門家の間で、わいせつ物の頒布等を処罰する必要性のみのならず、その処罰範囲をサイバーポルノにまで拡張する必要性についてもコンセンサスが得られていることを示している。
 
さらに、同判決は、漫画についても、わいせつ文書に当たると以下の通り述べています。
確かに、同じように性器や性交場面を表現する場合、写真のような実写表現物による表現と漫画による表現を比べると、一般的には、実写表現物の方が性的刺激の度合いの強いことが多い。しかし、ここで問題となるのは、実写表現物による表現と漫画による表現との間の相対比較ではなく、要するに、本件漫画本について、前記大法廷判決の示したわいせつの定義に従い、前記四行半襖の下張事件判決の判断基準・方法によって判断した場合、それが刑法175条にいうわいせつ図画に該当するかどうかである。
したがって、わいせつの3要件を満たしたサイバーポルノ(電磁的記録)、漫画は、わいせつ文書に含まれます。
すると、当然の類推として、電磁的記録の漫画ないし類似物(非実在創作物のDVD、コンピューターソフト)も、わいせつ3要件を満たせば、わいせつ文書に分類されると思われます。
 
3.刑法175条は、すでに非実在創作物のわいせつ文書(図画を含む)も処罰の対象としているので、あえて児童ポルノ等禁止法でわいせつな非実在創作物の児童ポルノを処罰の対象とする必要はないというご意見について
 
かつて、わたし達が、刑法に人身取引罪の新設を求めたとき、人身取引という行為は既存の法律で処罰可能なので、新法を設ける必要はないという意見がありました。
しかし、そのあとはっきりしたのは、法律の中にきちんと人身取引罪を設けることで、ある行為を人身取引(違法な行為)として法執行機関および一般市民が認識し、実際に人身取引行為が取締の対象となり、処罰されるようになったということでした。
これは、児童ポルノ等禁止法にも当てはまります。
既存の法律で解釈上処罰可能ということと、実際にその行為が一般的に犯罪として認識され、取締・処罰の対象となることとは別だと思います。
 
3.児童を暴行した者と、非実在創作物の児童ポルノとの関係
中島さんは、強姦や強制猥褻などの性犯罪は戦後一貫して減少してきている一方で、週刊誌などのポルノ的情報は一貫して増加しており、実際に「1950年代にポルノグラフィーを解禁したデンマークその他の北欧諸国において解禁後性犯罪が著明に減少したという事実を考慮すれば、「ポルノ解禁は性犯罪を助長する」といった主張は、いよいよその説得力を失うのである」と結論づけています。
 
私は、子どもの権利活動家なので、児童虐待問題にも関心を持っています。
児童虐待に関する児童相談所への相談件数は、19901101件より急増し、児童虐待防止法が制定された2000年には17725件、2006年には37323件に達しています。しかし、この数字は1990年以前には児童虐待がほとんど存在せず、近年、児童虐待が急増しているということを意味するわけではありません。森田ゆりさんが指摘するように、1990年前には日本には児童虐待の統計は存在せず、統計的には過去30年間、子どもが被害者となった殺人事件数は減少しています。実際に、森田ゆりは「わたしの推測では虐待の被害児童の実数は50年前、100年前のほうがずっと多かっただろうと思います」と述べています(森田ゆり『子どもが出会う犯罪と暴力 防犯対策の幻想』生活人新書、日本放送出版協会、2006年、1618頁および38)
しかし、この事実は、児童虐待防止法の制定が無意味であったということを意味しません。
これまで、不可視化・周縁化されていた児童虐待が、社会的意識の向上とともに、可視化されてきたということは、それ自体は望ましいことだと私は考えています。
非実在創作物のわいせつ文書についても、同じことが言えるように思います。
前田雅英首都大学教授も指摘していたように、日本にける児童ポルノ問題への対応も、国際的水準を満たすように努力する必要があります。
国際的水準を示すものの一つとして、性的搾取・虐待からの子どもの保護を定めた欧州議定書があります。
この議定書は、先ず、予防措置や子どもと接する職業の者への訓練、子どもに対する教育、性的虐待・搾取に関する政策決定過程への子ども参加などと定めています。
日本の法整備においても、まず、これらの点を強化・促進すべきという点については、私と、健さん、技術屋さん、犬さん、りすさん、そしてsave childrenさんの間で合意があると思います。
 
ただし、わいせつ文書とはどのようなもので、どこまでを処罰の対象とすべきなのか、については、さまざまな意見があるということは理解しました。
 
なお、上記の欧州議定書では、実在の子どもを対象にした児童ポルノについては、単純所持だけでなく、故意のアクセス(knowingly obtaining access) まで処罰化すべきと書いてあります。
ただし、非実在創作物の児童ポルノ(simulated representations or realistic images of a non-existent child)のみのよって構成されるポルノ的素材の製造や所持については、実在の子どもポルノに適用される刑罰を適用しない権利を保持するとあります。
 
この辺りが、もっとも議論のある箇所ということでしょうね。
 
さらに勉強してみたいと思います。

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
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児童ポルノ(14)非実在創作物の児童ポルノについて」への6件のフィードバック

  1. 3.についてですが、森田先生は新規立法による非実在創作物を検討される気はないのでしょうか?保護法益の混乱による実務上の悪影響は専門家がたびたび指摘しているところであります。http://www.google.co.jp/search?q=site%3Ahttp%3A%2F%2Fd.hatena.ne.jp%2Fokumuraosaka+%E6%B3%95%E7%9B%8A+&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&hl=ja&lr=&sa=2ところが、ユニセフやエクパットストップ子ども買春の会を始めとして、創作物規制を推し進めたがる方たちはこの点については非常に無頓着なようにおもわれます。日本ユニセフ協会においては個人的法益説を表明しつつ、実際には児童買春・児童ポルノ処罰法の保護法益を社会法益に転換させることばかりしています。これでは、活動の目的が被害児童の救済ではなく、単に道徳的観点(とりわけキリスト教プロテスタント的な)から小児性愛を撲滅したいだけなのではないかとの疑念を抱かれても仕方がないでしょう。それから、9才の女児が結婚可能であることを定めたイスラム法を批判なさらないのはなぜですか?

  2. 早速のお返事ありがとうございます。> わいせつ文書が社会法益を侵害するということは、これまでの判例を見る限り、確定した社会通念であると判断されていると思います。 それはあくまでも、「警察関係者や法廷の場、もしくは、性的な情報に拒絶反応のある方々」の、社会通念ではないでしょうか。 海外サーバー上のわいせつ図画公然陳列や、秘宝館でのグッズ販売などが、国内の一般の方に許容されているように、「わいせつ文書」の配布に関しては、むしろ「成人が個人で楽しむ範囲であるなら問題ない」との考えの方が社会通念となっているように感じられます。 「わいせつ文書が社会法益を侵害する」との社会通念がある程度確立しているのは「性的に露骨な図画そのものが、(見たくない人や未成年者が)一見して認識される形で陳列や配布」されてるようなケースだと思われ、実際に取り締まりの場においても「(見たくない人や未成年者が)一見して認識される形で陳列や配布」されている方が、警察による「お目こぼし」が発生しにくいようです。 話は少し逸れてしまいますが、「わいせつ図画」の「お目こぼし」には功罪ありますので一概に全否定できる訳ではないものの、児童ポルノのように実際に被害者がいるケースまで「わいせつ図画」取締り的になってしまっているのは問題があると言わざるを得ません。そうさせないためにも、児ポ法の改正では個人法益性を強化する必要があると考えております。>既存の法律で解釈上処罰可能ということと、実際にその行為が一般的に犯罪として認識され、取締・処罰の対象となることとは別だと思います。>児童虐待防止法の制定が無意味であったということを意味しません。 もちろんその通りですが、侵害原理に基づいて作成された人身売買罪や児童虐待防止法と違い、「不道徳である」という理由をもってして、規制を強化しようとするのは問題が大きいと思います。 繰り返しになってしまいますが、リーガルモラリズム的なやり方は、権利を与える場合に限定し、かつ、自己決定権との兼ね合いから慎重にとりおこなうべきであり、法により行為に対して命令や禁止を規定する場合、原則的には侵害原理に基づいて行われるべきだと思います。 >欧州議定書については先生おっしゃるように、『予防措置や子どもと接する職業の者への訓練、子どもに対する教育、性的虐待・搾取に関する政策決定過程への子ども参加など』、良いことも多数書かれておりますが、他方で表現の自由の侵害等、宗教的価値観によるモラルの押しつけも見受けられますので、(必ずしも批准しなければならない訳ではありませんが)批准する際には(留保が認められていないものに関しても)日本独自の留保規定を設ける必要があると思われます。

  3. >1.個人的には刑法175条が社会法益に反するとする主張は承服しがたいですが、法令として存在しており判例でも合憲が確定していますから、日本の法令上猥褻物が取り締まり対象であること、それが合憲とされていること自体は事実でしょう。>2.創作物であっても猥褻物にあたることは、前エントリにて指摘している通りです。>3.(1)刑法226条の2違反は、人口1億3千万を数える我が国において毎年数十~百数十件程度の極めて希少な犯罪です。最も忌むべき犯罪である殺人の、実に十分の一以下の数しか発生していません。これほど希少で既存の法令で対処できる罪であれば、現場を混乱させ貴重な税金を浪費してまで新規に立法する必要がない、とは全く以って当然の主張でしょう。また、人身取引が違法な行為であることは児童に対する虐待同様、誰でも知っています。今更認識を変えたり処罰されるようになった事例が増えたとされるなら、その根拠を示すべきではありませんか?。更に代替できる罪があるのに新設する、のであれば、その代替できる罪に追加するのが筋でしょう。実際に人身売買は刑法226条に第2項として追加されています。なぜ、児童ポルノに限って、代替できる罪(刑法175条)とは全く別に、保護法益すら異なる法令(児童ポルノ法)へ追加する必要が有るのでしょうか?なお、猥褻物の頒布が違法であること、創作物であっても猥褻物に該当することは、森田様が特別なだけで一般の常識としては良く知られている事実です。わざわざ別途立法して知らしめる必要などありません。必要であれば森田様ら言論・表現統制推進派の方々の間で、猥褻物頒布が違法であることを共有知とするシンポジウムでも開催されてはいかがでしょうか?>3.(2)ご自身が示されてしまった様に、基本的にポルノグラフィーを含めた言論・表現の自由度と関連する犯罪の件数は概ね反比例する傾向があり、これは日本でも同様です。例えば日本ではコンピュータゲームは概ね1980年代以前には存在せずアダルトゲームも勿論存在しません。アニメ・漫画・ゲームのアダルトメディアはそれ以後から発展を続けており、性犯罪はその間、激減の一途です。尤もこれらの因果関係は証明されていません。ただし相関関係がある以上、規制すれば犯罪が減少するとは決して主張できません。逆に可能性とはいえ規制すれば性犯罪が増加する危険がある以上、それを否定する研究か、犯罪が増加しても構わないといった主張でなければ規制は正当化できません。次に欧州議定書など持ち出さずとも、日本はOptional protocol to the Convention on the Rights of the Child on the sale of children, child prostitution and child pornography(A/54/L84)に批准しています。この中に『児童を描いたありとあらゆる性表現の規制』が存在するのですから、これを根拠にすればいいだけの事です。これは児童ポルノに関わる創作物の二次元規制に関しては常識の範疇にある内容です。まさかご存知なかったのでしょうか?。ちなみにOptional protocolである以上、その全てを満たす必要はなく、世界的にも実際に全てを満たす国など存在しても数えるほどでしょう。(少なくとも私は一カ国も寡聞にして知りません)日本だけが全てに批准する必要はなく、その義務も意義もありません。なお、森田様の仰る、即ちSave The Childrenが政治的に求める帰結としての“禁止”とは、如何なる種類のものでしょうか?また、具体的に創作物を児童ポルノとする、その基準はどうされるのでしょうか?先のエントリでも健様、りす様といった方々が求められ、私も疑問を呈した問題であり、最大の論点のひとつです。この点が曖昧では全ての議論が無になります。更に、そもそも児童ポルノ法は最長刑7年の重罪です。これは個人法益保護=人権保護の法令であるが故にその罪が重く、単純所持規制などの必要性が求められるのも同様の論拠です。仮に社会法益保護として創作物の規制を求めるのであれば、このような重罪に併せるのは明らかに異常でしょう。そういった事実についてもちゃんとご検討しておられますか?。法益とは法令の目的そのものです。後付するなど常識ではありえません。

  4. >ただし、非実在創作物の児童ポルノ(simulated representations or realistic images of a non-existent child)のみのよって構成されるポルノ的素材の製造や所持については、実在の子どもポルノに適用される刑罰を適用しない権利を保持するとあります。 >この辺りが、もっとも議論のある箇所ということでしょうね。そのとおりです。私も現行法の3号ポルノの規定については異論がありますが、実在児童の性虐待記録としてのポルノを容認するつもりはありません。ただ創作物の「児童ポルノ」については、実際の児童の虐待に直接つながるものでない以上その規制については慎重・かつ冷静な議論を尽くすべきだと申し上げたいだけです。これらの作品の中には、世間を騒がせた「レイプレイ」のような「性犯罪」をテーマにしたものもありますが、主流は「学園物」や「ファンタジー物」などです。その大半は主人公とヒロインとがさまざまな交流・出来事を通じて恋愛関係になり身も心も結ばれるというもので、基本的にテレビドラマや映画で扱われるテーマと異なるものではありません(ただし性行為にかかわる描写があるために、18歳未満の購入が禁止されているわけですが).現実の世界においても、思春期のカップルであれば、相手に対し性的関心を抱き、愛し合う中で実際に性行為を行う者もあるでしょう。相手の合意なく行うことは論外ですが、これらの行為を性的虐待として法で一律に規制しようというのは土台無理な話だと思います。森田様が提示した上記欧州議定書の第18条3項においても同条1項aの規定は未成年同士の合意に基づく性行為にまで及ぶものではないとしており、妥当な規定と思います。よって、そのような未成年カップルの性描写も含む恋愛をテーマにしたゲームがあったとしても、そのことがただちに性虐待であると非難されるいわれはないんじゃないでしょうか?また、未成年者と成年者、具体的には生徒と教師、高校生と大学生などのカップルを描いた恋愛ゲームなどについても一律に非難に値するとは思えません。自分の経験からしても、今をさかのぼること二十数年前、通っていた高校の体育の教師でその高校の女生徒と在学中につきあった末結婚した人がいました。いつもは厳しいその教師が奥さんと子どもの話をするときのおのろけぶりが忘れられません。また同級生の女生徒で大学生や社会人と付き合っている子も普通にいました。あのくらいの年頃の女の子が、自分よりも人生経験のある年上の男にひかれるというのもよくある話です。彼らの交際中に性行為が行われたかどうかはわかりません。しかし、強要や脅迫・暴行などがあるならともかく、これらの関係について、淫行教師だのロリコン野郎などというレッテルを貼る最近の風潮には集団ヒステリー的なものを感じざるをえません。上述の教師やその家族、その他同じような境遇の人たちはさぞかし肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか。親の同意が必要であるとはいえ、16歳を過ぎた女性とは結婚できるという民法の規定があるにもかかわらずです。そしてこのような関係を描いた小説・ドラマ・ゲームなどが、その中に性描写を含んでいたとして、ただちにそこに描かれた児童を性的に虐待したことになるのでしょうか?はげしく疑問です。結局、創作物の「児童ポルノ」で唯一規制対象となっても致し方ないとするならば、いわゆる「性暴力」を主要なテーマとしたものということになると個人的には思います。しかし、これも、実在の児童に対し「性虐待」しているわけではない以上、そのような表現を不快に思う人がそれらのメディアを「見ない自由」を考慮する必要があるとしても、殺人やその他の犯罪行為を描いた「創作物」とは別格のものとして特別に規制の対象とすることには慎重であるべきだと考えます。私も実のところホラー映画やその他残虐表現のある作品が嫌いなのですが、私自身としては、それらのメディアの視聴を強要されず、私がそれらを「見ない自由」が確保されているかぎり、それらの表現を創作しまた視聴をを楽しむ人たちの権利を奪う気にはなれません。それらの作品がどんなに醜悪なものであっても、この世界に起こっている出来事に関する一片の真理が含まれているかも知れず、また、その製作者自身の思想や世界観を表現し世の中に発信したいという欲求や、その表現に共感する特定の人たちの知る権利は他者に危害を加えないものであるかぎり、最大限尊重すべきだと考えるからです。でもこれら一般に嫌悪すべき表現もふくめ多種多様な思想・表現を尊重したい本当の理由、それは、これらの「嫌悪すべき表現」が完璧に根絶され、「正しき言論」・「好ましい表現」のみが許された世界というものが、たとえるならば、消毒用アルコールの匂いが充満した、装飾も何もない、殺風景な白塗り壁の精神病院(実際の精神病院がそうなのかどうかは知りませんが)の中にいるようにしか思えないからです。そのような寒々とした世界で生きていく位なら自ら命を絶つたほうがましだと思います。たとえ、猥雑で悪意の絶えない世界であっても、多様な価値観を持った者同士が泣いたり・笑ったり・怒ったり・喜んだりする社会で生きていたいものです。以上が、1980年代のアニメ全盛時代に中学・高校時代を過ごし、大学時代から30台前半までの一時期にはオタク趣味から遠ざかり、30台後半から返り咲いた、普通の読書もアニメ・漫画・ゲームも分け隔てなく楽しむ一中年オタクが「非実在創作物の児童ポルノ」を擁護する理由です。今後の森田様をはじめとする規制派の方々の議論の一端にでもなれば幸いです。ここまで長文にお付き合いいただきありがとうございました。

  5. 「平成17年の松文館事件での高裁判決」これについては、支持者から投書を受けた議員や、その方から指示を受けた警察・検察、そして裁判官など、そのすべての過程で漫画やサブカルチャーへの知識や認識が高い者が存在しなかったため、疑問視や制止されることがなく、”法や自主規制に即した創作物であり、いわゆる猥褻物では無いにも関わらず事件化した”、という不幸と問題があると考えます。検察側による「絵が上手すぎる」という言い分には、ある意味、警察・検察側の有罪であるということが前提という恣意性が見て取れます。これが判例として扱われるのは、日本の法制度として当然のことではありますが、リンクされています「平成17年の松文館事件での高裁判決」における「第6 量刑不当の主張」の部分こそ重要です。> 所論指摘のとおり、本件漫> 画本は男女の性交や性戯場面等を露骨に描写しているといっても、そのわいせつ性の程度を、同様の情> 景を実際に撮影した写真やこれを録画したビデオテープ、DVD等の実写表現物の有するわいせつ性の> 程度と比べると、両者の間には相当の開きがあり、本件漫画本が漫画本であるが故のわいせつ性の特> 殊性も考慮しなければならない。さらに、被告人は原審公判において本件漫画本のわいせつ性を争って> いるが、検察官の取調べにおいては、本件漫画本がわいせつ物に当たることを認め、本件犯行について> 謝罪の気持ちを有していたという事情もある。>  こうした事情を総合勘案すると、被告人に対しては、罰金刑で処断するのが相当であり、懲役刑を科した> 原判決の量刑は重きに失すると判断される。論旨は理由がある。という「被告が猥褻物であると認め謝罪した」ことが判決理由として含まれていることから、松文館事件における結果が、森田さんのおっしゃる、「わいせつの3要件を満たしたサイバーポルノ(電磁的記録)、漫画は、わいせつ文書に含まれます。」という判断は間違っておられるのではないかと考えます。つまり、「40パーセントの網掛け」により「猥褻物」では無くなるかどうか、それを被告がどう認識していたかということが争点され、肝心である”性描写のある漫画は猥褻物である”という結論を導ける判例では決してありません。読み忘れられたのだと思いますが、この「第6 量刑不当の主張」は考慮に含めるべきです。もし、この判例を森田さんが考える解釈で判断し、現在あるすべての創作物に適応されるのであれば、法や自主規制に即した創作物であろうと、それらは表現の自由として認められない「猥褻物」とご判断されていることと同等になるのではないでしょうか。(後日一部追記)判例に従うにせよ、その判例から導くべき解釈や結論を間違ってはいけないと思うのです。2つの「3. 」において森田さんが言及されていますとおり、児童を守るための法律が無意味であるということは、決してありませんし、法によって明文化されることによって、犯罪であるということを認知させることには意味があると思います。しかし、「中島健さんがたいへん興味深い論文」を引用され、ご理解いただけている通り、ポルノ(端的にいえばエロ本・エロビデオ・エロ漫画・エロゲーム等)を社会の害悪とし規制したところで、それが性犯罪の根本を絶つ結果を生むことは絶対にありえず、むしろ、規制・禁止が犯罪の増加を招く可能性が高いということは他国の情勢を見ても明らかなことです。本当に訴えていくべきことは、このようなポルノを正しい認識を持った成人向けのものとして認めるとともに、それらが未成年や見たくないと思う人が触れないように徹底した対処・指示をすること、そしてなにより、”実在の児童や女性の人権侵害しない倫理教育・その被害者のケアや保護”こそ肝要でありましょう。健さんもおっしゃられておりますが、多様な価値観を認め合える社会こそ、目指すべき次期世代であると私は思います。ある特定の多数派が認めるものだけが存在を許され、認められないものは禁止・規制によって撲滅せしめられるのであれば、それは”浄化”ということではなく、ナチズムと同様に、認めないものをアウシュビッツ的な”隠蔽”をしているに他なりません。当然、”隠蔽”が根本的な解決を生むことは無く、反抗や新たな犯罪が芽を出すだけです。科学的な根拠が無い段階での感情による禁止・規制というのは、そのようなものだと考えます。だからこそ、”倫理教育を周知させることこそ”訴えるべきことだと言えるのです。1日2日、1年2年で解決するような問題でも、圧力によって抹消できる問題でも決してありません。地道な倫理教育活動こそ、本当の児童・女性への性犯罪の根絶に繋がるものなのだと訴えたいです。また、私(りす)の質問には今回も明確にはお答えいただけませんでしたが、「ただし、わいせつ文書とはどのようなもので、どこまでを処罰の対象とすべきなのか、については、さまざまな意見があるということは理解しました。」との言葉をいただき、お考えを再考していただけることを、とても感謝いたします。本来、法的な根拠を探すことよりもまず、なにがいけないのかということを考えなければいけません。推進・反対の両立場から考えても、明確に”これが非実在創作物の児童ポルノです”という前提が何もない段階で話し合っていては、何の意味もありません。森田さんのおっしゃるとおり、みんなでさらに勉強し議論すべき問題であると認識しております。

  6. 次エントリが作られ、その内容が児童ポルノ法改正を問題とは離れたことから、森田様の心裡にてこの問題について一段落したものと判断して一点指摘させていただきます。結局のところ科学的根拠が証明できない、即ち個人法益での規制が出来ないことについては異論が無いかと思われます。そのうえで、社会法益での規制とは原則的に倫理による規制です。貴方がた言論・表現統制推進派はご自身らの倫理観、つまり一種の美学による規制を求めている事を意味します。ここで(お答えがいただけませんので)森田様らが仰る“禁止”が製造、譲渡、貸与、広告、宣伝の禁止といった、日本ユニセフが主張し、SaveTheChildrenが支持するものと同等と前提します。非実在創作物の児童ポルノ(以下創作物と略)の売買についてはごく当たり前に合法ですから、一定に市場が存在し、それを生活の糧として働いている人々が相当数存在します。創作物規制を行えば、そういった人々は生活の手段を奪われます。既得権としての生活の手段が奪われることになるのですから、生活権の侵害であり、このご時世では生存権の侵害ですら有りえます。また、そういった人々もごく当たり前に家庭を持ち子を為しています。保護者の生活権・生存権が侵害されれば、当然、子供の生活権も生存権も侵害されることになります。表現の自由や職業選択の自由もそうですが、ご存知のように生活権や生存権はごく当たり前の人権です。即ち、貴方がた言論・表現統制推進派が社会法益による規制を求めるということは、ご自身らの美学を実現するために、こういった人々、子供たちの人権を侵害することを求めていることと完全に同義です。もちろん、創作物のユーザにも幸福の追求権がありますから、そちらも侵害しています。社会法益による規制とは、こういう事です。私は貴方がた言論・表現統制推進派がこういった事を深く調査し論議し、それでも規制すべきである、といった結論に至ったものと理解しておりました。ところが「この辺りが、もっとも議論のある箇所ということでしょうね。さらに勉強してみたいと思います。」といった記載内容や、ここまでの森田様の既述からすると、ほとんど調査も論議もせず、他者の人権侵害を求めているようにしか見えません。これは、あまりにも不誠実で傲慢な態度ではないでしょうか?。不誠実になることを理由にこういったエントリを記載し、コメントの投稿まで許可している以上、言論・表現統制推進派としては稀有なほどに森田様が“誠実”という美徳に価値を認められていることは大変によく判ります。そうであるならば尚のこと、言論・表現統制推進派の主張が子供の人権保護を主張しながら、実際には子供を含めたあまりにも多くの人々の人権侵害を主張しているものである事実を、今一度きちんと論議すべきではないかと存じます。

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