表現アートで学ぶグローバルエコノミー論

9日から11日まで、宮城県にある尚絅学院大学の3年生を対象に「グローバルエコノミー論」という講義をやってきました。
一日5コマ(90分x5回)で3日間ぶっ続けという、かなり過酷なスケジュールでしたが、表現アートの技能をフルに利用して、楽しく終了。
 
この講義では、事前に「10年後の理想の1週間と、その生活を実現するために就いていたい職業とその業界の様子」についてレポートをまとめてもらいました。
全体的に、自分たちの将来に大きな不安があるという印象でした。
今の経済情勢を考えれば、これは当然。
 
そこで、初日の冒頭に「現在の両親の生活に比べて、20年後の自分の生活が良くなっている、変わらない、悪くなっている」という3択の質問をしてみたところ、全員が最後を選択。
これも想定の通り。
そこで、さらに、1999年度の国連開発計画の『人間開発報告書』に出てくる、世界で最も豊かな20%と貧しい20%の所得の比率の歴史的推移を提示して、現在、地球上に年収1億円を得ている人と100万円しか稼げない人にいることについて考えてもらったところ、当人の努力の結果だから仕方がないという意見が大半を占めました。
ナルホド。
これは自己責任、当事者意識が定着していると肯定的に捉えることもできますが、社会科学は社会を客観的に見る眼を養うものなので、これだけではダメなわけです。
そこで、現在の経済格差が当事者の努力の結果だけではない、構造的な要因があることをいろいろな観点から説明していきました。
ちなみに、上記の経済格差は、1820年1:3、1920年1:11、1960年1:30、1980年1:60、1997年1:74となっています。
 
2日目は子どもの兵士の問題、児童労働、人身売買などのビデオを見せ、自分たちがそれぞれの立場だったら何が出来るのか、をアートで表現してみて、人間というのは置かれた環境によっては出来ることがとっても限られることもあることを体感してもらうことを目指しました。
学生は、世界には自分たちよりはるかに困難な状況にいる子ども達、人々がいるということ、そして、それは当事者の努力が欠けているからではないことを少しずつ理解してくれたようでした。
この日の講義のあとには、国際協力のNGOについて質問してきた学生もいて、こういう世界の問題を解決するために、何かやらなければいけないと思った受講者も出てきたように感じました。
 
最終日は地球環境問題と世界経済。
温暖化のメカニズムについてアル・ゴア前副大統領の「不都合な真実」を見て学んだあと、さらに大型台風で深刻な被害を受けたフィリピンのスラムの人々の生活を映したビデオを観て、地球温暖化の具体的な影響を伝えた上で、(1)自分たちが途上国のスラムで暮らす家族だったら、(2)日本の学生だったら、という2つのケースについて、それぞれ自分が出来ることをショートドラマにしてみるというワークをやってみました。
この最終発表の中には、日本の学生として途上国に支援に出掛けるという内容のものもありました。
 
ということで、今回の講義の目標である世界経済の構造的格差の問題を当事者として考える姿勢を身に付けるということは、ある程度実現できたかな、というところ。
 
3日間で15コマというスケジュールの中で、どの程度のことが出来るのか、も今回の体験でよく分かりました。
 
そして、何よりもこれまで学んできた表現アートの技法を片っ端から試してみることができたことは最高のしあわせ。
 
ということで、宮城県への出張講義も無事に終了しました。
 
気持ちを入れ替えて、次のプロジェクトに向いたいと思います。スマイル
 
 
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