児童ポルノ(24)

技術屋さま、りすさま、Save childrenさま
 
それぞれの書き込みに要したであろう時間を想像すると、この議論に費やしてくださった皆様の労力に心より感謝申し上げます。
しかし、お陰さまで、世間で規制反対派と称されている皆様の論拠がだいぶはっきり分ってきた気がします。
 
私がこの問題に関わるようになったのは1996年ですから、すでに十数年になります。
しかし、これまで、規制反対派の皆様とオープンに意見を交換する機会と時間がありませんでした。
昨年末から、実に1年近くにわたって、この問題について貴重な情報とご意見を提供いただき、誠にありがとうございました。
 
私は、子どもを無菌状態、完全防御体制のもとで育てることは、そもそも不可能であるだけでなく、望ましくないと考えています。
生きる力というものは、ある部分、現実の中で格闘することによってしか身に付かないものだと思っています。
そのためにも、出来る限り個人が自分の意志で様々な試みを行うことができる自由な社会が望ましいと考えています。
そして、性というものも一定の秘匿性が必要であると同時に、一概に抑圧すべきものでもないと考えています。
この点については私と皆様の間で共通の合意があると思います。
 
また、実在の子どもを対象とした明らかな性的搾取・虐待およびそれらを実在の子どもと分かる形で描写する行為(製造)はその形態を問わず犯罪として厳罰に処すべきという点についても、皆様は賛同されていると理解しています。
さらに、猥褻物ないし青少年の健全育成に害をもたらすと判断された(誰が判断するのか、という問題はありますが)素材が法的規制の対象となることにも合意されているわけです。
結局残った課題は、
(1)(実在の子どもを対象とした児童ポルノの)単純所持をどう考えるか
(2)非実在の子どもを対象とした創作物に対する規制について、猥褻物ないし青少年健全育成という、これまでの社会法益論で認められている規制基準との関係も踏まえ、どう考えるべきなのか?
という2つになります。
この点に関する日本ユニセフ協会の主張は以下の通りです。
(1)「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告・宣伝する行為」には反対する(法的規制を要求しているわけではありません)
(2)「被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものを、『準児童ポルノ』として違法化する(第2条)。具体的には、アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む」
 
私の立場からすると、日本ユニセフ協会の(1)の主張は、法律用語として考えた場合に曖昧な点があることは別として、きわめて穏当な、常識的なものと思われます。
また、(2)の主張についても、「被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものの製造、譲渡、貸与、広告・宣伝する行為に反対します。具体的には、アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む」ということであれば、子どもの権利団体としてはまったく穏当な常識的な主張であると思います。
これらの事態を容認しますと発言するような団体は、もはや子どもの権利団体ではないでしょう。
 
ただし、これらの主張が具体的な実定法上の文言に翻訳される際に、特定の政治的立場に基づく国家による国民管理に利用される危険性を有しているということについては、これまでの議論で十分に理解しました。
 
今後、ここでの議論を実践的な意味で有意義なものとする方法は、現在進められている児童ポルノ等禁止法改正案(前回の通常国会で審議された自公案と民主党案、そして民主・自公修正案があります)を対象とした具体的な議論を行うことだと思います。
 
私ももう少し調べてみます。
 
 
 
 
 
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児童ポルノ(24)」への5件のフィードバック

  1. このような議論の場を設けてくださったことに対し、森田さんには大変感謝をしております。しかしながら、森田さんの今回のコメントを拝見した限り、まったく意見の溝が埋まっていないと感じ、大変残念に思いました。今回の規制問題を一言で言えば、これまでさんざん申し上げてきたことですが、規制推進者たちが児童ポルノ規制に便乗して、自分たちの気に入らない文化・嗜好・存在を抹殺しようとしている、ことなのです。実在の子供のポルノがどうこういう話じゃないのです。児童ポルノとも子供の人権ともまったく関係のないアニメや漫画文化をドサクサに紛れ規制しようという大変胡散臭い動きがあるから猛反発が起きているのですよ。規制推進派の、「児童の人権保護」という主張を額面どおりに受け取っている人などいないでしょう。森田さんも今月9日に書いておられるでしょう。子どもの権利関係の研究会で、権利主体としての子どもという子ども観には日本社会のある部分から強い反発があるという報告があり、それに森田さんも同意見であると。この、子供の人権向上に強い反発をしている勢力こそが、まさに「子供の人権のため」と称し、今回の規制にうつつをぬかしている人たちではないのですか?規制推進の先頭に立っている日本ユニセフ大使のアグネスチャン氏も、2008年の3月にですね、「漫画を買って読んでもいけない」と言う発言をしているわけですよ。彼女は以前にも「日本のアニメ制作会社はディズニーの下請けをしていればいい」などと言う発言をしたとも伝えられています。彼女は非常に問題のある人物だと思いますが、アニメや漫画叩きに熱心な一方で、祖国で迫害されているチベットの女性や子供は一切無視しているわけですね。彼女の本音は、子供の人権を守りたいのか、それともアニメ漫画文化を潰したいのか、いったいどっちなのでしょうか?私は、前々回、「暴力表現等、社会通念上著しく問題があると言う表現については、児童ポルノとは切り離し、表現全体の枠組みの中で規制を考えていくべき」と申し上げましたが、そういった表現が、児童ポルノ規制法によって制限されるべき性格のものでない、ということを伝えたかったわけでして、当然、規制するにしても表現や内心の自由、憲法なんかと絡むわけで、相当ハードルは高い、ということはご理解いただけていることと存じます。あと最後に、森田さんは社会法益という観点を持ち出されていますが、ここでいう社会法益とは、青少年健全育成とは違うと思います。正確には犯罪を誘発したり、子供を性の対象にする風潮を助長する、といったことでしょう。もちろん、これもさんざん申し上げてきたことですが、創作物と現実はまったく違い、実際そのようなことはなく、社会法益という観点をもってしても創作物は規制される筋合いのものではないと確信しております。(なお、青少年健全育成という観点であるならば、ゾーニングで十分です)

  2. >森田様≫これらの事態を容認しますと発言するような団体は、もはや子どもの権利団体ではないでしょう。同じECPATでも関西の団体は規制すべきではない=容認(黙認)すべきであると主張しています。また、児童の権利保護についても強く主張している日弁連も同様に主張していますね。こういった団体が児童の権利保護を目的とする団体ではない、と主張されるのは、暴論どころか暴言ではないでしょうか?さらに日本ユニセフ協会やECPAT東京が主張し、Save the Children Japanおよび森田様が賛成される主張の(1)にせよ(2)にせよ、児童の人権(個人法益)とは直接的に“全く無関係”な特定の方の倫理観に基づく社会法益保護を目的とするものです。そして一向にご返答がありませんが、これら社会法益に基づく規制は児童の人権保護には全くの無益であるのみならず、確実に児童の人権を侵害することになります。この活動のどこが児童保護なのでしょう?また、そもそもNPOや自治体・政府を含めた全ての団体の活動は人的・金銭的・時間的に有限なresourceを消費して行われます。児童保護という名目のresourceについて社会法益(児童の人権とは直接無関係)な活動に多くを割り振れば、児童の人権(個人法益)保護に利用できるresourceが大きく目減りする、即ち“児童の人権保護が確実に疎かになる”ことはそれこそ子供でも判る引き算です。しかもそれが言論・表現の自由という人権の侵害であり、他にも幸福の追求権・信条/思想の自由・財産保護等々あまりにも多くの人権侵害(憲法違反)である内容とあっては、そのよう立法を求める破廉恥な主張を行って恥じることのない団体や人々こそ、まさに“児童の権利”など口にすることも許容されるべきではない恥知らずである、と私は認識しています。さすがに森田様が「児童の人権よりも自分たちの求める社会的倫理観が優先である」などと言う暴論を主張しているとは思いたくありませんので、再三再四ご返答を求めています。とはいえ、ここまで返答を拒み続けている時点で、森田様もこの根本的な矛盾には気づかれておられるのでしょうね。≫規制反対派の皆様とオープンに意見を交換する機会と時間がありませんでした。これも指摘しましたとおり、言論統制・表現規制を主張する方々が徹底して説明責任を果たさず、議論を排して来たのが原因です。どういった具合なのか行政による調査においてすら、法務の専門家で尚且つ反対派である山口弁護士はおろか、反対派ですらない実務の第一人者である奥村弁護士すら、なかなか招かれない始末です。これは正に山口弁護士が反対派であるという事実、あるいは奥村弁護士が必ずしも言論統制・表現規制推進派に好都合な主張を行わない(奥村氏は良くも悪くも表現の自由や社会法益の問題よりも徹底して児童保護を優先する姿勢を採ります)といった事実と無関係ではないでしょう。もし議論が有意義だと思われるのであれば、森田様にはそれが可能な発言力があるのですから、自ら働きかけてはいかがでしょうか。

  3. 森田さま>これらの事態を容認しますと発言するような団体は、もはや子どもの権利団体ではないでしょう。私は今大変怒っています。子どもの中にも当然サブカルチャーを愛好し、成人になった際にはそのような性的表現を享受したいと思っているけれども、子どもの商業的性的搾取を無くしたいと真剣に考えている人たちがいるのです。だからこそ、第2回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議の子どもと若者の最終アピールには「わたしたちの文化は、CSECと闘うための創造的アイデアや効果的手段の宝庫です。CSECと闘うことを目的としたプログラムを作るときは、このような文化的・政治的・経済的多様性とともに、ひとりひとりの違いも考慮にいれるべきです。 」という文言が盛り込まれたのです。その人たちを子どもの権利団体ではないと言うなど、極めて傲慢と言わざるを得ません。貴方は一体何様のつもりですか。

  4. 大人が子どもに対し取るべき正しいスタンス、というお話をしてきた甲斐があったと思いました。今まで森田さんから子どもに対する大人のあるべき姿に関する話にご返答はなかったですが、子どもは自分で生きる力を身に付けるべきという趣旨のお話に、私も賛同いたします。性は生命の営みであり、本来恥ずべき行為でも何でもありません。正しく理解させることが大切なのであり、隠蔽して知らないようにすることは最も避けるべき対処法でしょう。私は男ですから、中学高校と異性の同級生を意識しましたし、所謂エッチなことにも大変興味がありました。もちろん女性だって、程度の差こそあれ同じく興味を持つものです。森田さんも当然そういった時期があったでしょう。性の意識は「抑圧」できるものではありませんから、大人が正しく「導く」のではなく、大人が正しい方向を進めるように「教え考えさせ、見守り、そして誤ったときは戒めつつ助ける」ことが重要なのであると強く主張します。昨日、福音館書店の児童誌において、"おじいさんのキャラクターが喫煙するシーンが多い"と言う苦情があったことを理由に版元が販売停止したという記事がありました。検索なさればすぐに出てくるかと思います。この記事について森田さんはどのように思われますでしょうか。私は「親が子どもを育てる自信が無くなっているのだろう」と解釈しています。本来、子どもを教育すべきなのは最も身近な親の責務です。それは、学校・塾・公共の場、もっと広域に家庭外の社会全体に対し要求できるようなことではありません。この苦情を言った親は、ファミリーレストランの喫煙席でタバコを吸っている大人にも同様に注意するのでしょうか。きっと自らの保身のためにそうはせず、後々投書やネットを介した文句を送る程度の怒りでしかないはずです。タバコは身体に良くないものだよと教育すれば、特に小さい子どもはしっかりと受け取り学びます。児童書・絵本の中でおじいさんのキャラクターがタバコを吸っていたところで、親がしっかり「教え考えさせ」れば、子どもはちゃんと理解します。怒ったり諭したり、しっかり正しく教育できないのは、子どもを「自分の理想を具現化するためのペット・玩具として扱い、一人間として接していない」が故であると思います。そのために、日本における児童虐待は親によるものが一番多いという結果を生んでいると考えます。自分の思い通りにならない我が子、叱責、叱責、叱責、そして手を上げる…。子どもを信用できないものにしてしまっているのは「自分に自信が無い親」そのものであり、「子どもを信頼していない証拠」でしょう。さて、創作物の件について。他の方は大変お怒りのようで、私は驚いています。少々森田さんの言いたいことを早とちりして捉えていらっしゃるようにも見受けられる。私は、約半年前私が初めてここに書き込みさせていただいた当時よりも、森田さんがより柔軟にご配慮いただけるようになっていただけていることに感謝しています。子どもを実被害から守ろうという見解は皆共通でしょう。ですが、他のお三方が怒っておられる点はおそらく、「猥褻物ないし青少年の健全育成に害をもたらすと判断された(誰が判断するのか、という問題はありますが)素材が法的規制の対象となることにも合意されているわけです。」この点に集約されるかと思います。私も、「言葉足らず」という意味でまだまだご配慮が足りないと判断します。現行法における青少年のため(未成年にわいせつ物を売ってはいけない等)の法規制というのは、それは当然として合意なわけですが、今この場で話し合われている政治・言論・表現の自由という問題を前提にしている状況において、この言い方では、未だ森田さんが単に子どもを守るためだけに盲目になられていると捉えられても仕方ありません。この文章の「素材」と言う言葉についても、どうとでも解釈できる巧みで狡猾な言い回しにも見える。「素材」とは、実在の被写体に関することなのか、創作物まで及ぶものとして判断するのか、その点が非常に重要であると、現在の話の流れから森田さんもわかっていらっしゃるはずでありましょう。最初に仰っている「子どもを無菌状態、完全防御体制のもとで育てることは、そもそも不可能であるだけでなく、望ましくないと考えています」という言葉と背反してしまいかねません。私も、子どもや青少年に悪影響を与える情報は、憲法・現行法に基づきある程度の遮断が必要であると思います。がしかし、森田さんが想定しておられる「猥褻物ないし青少年の健全育成に害をもたらすと判断された素材」とはどのようなものなのか。森田さんのお話では、具体性に欠け、この文章を読む人によって解釈も異なってしまいます。具体的に「アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む」ということであれば、私が再三申していた通り「小説」や「歴史的創作物」にも同様に及ばなければ、単なるごく一部のメディア媒体批判をしているに過ぎません。漫画・アニメ・ゲーム等が子どものものであるという一昔前の考えはまず捨てなければならないでしょう。と同時に、日本の特殊な文化形体として海外に対しても理解を得るよう努力しなければならない。また、「法的規制」という言葉についても、それは製造に対するものなのか販売なのか譲渡なのか貸与なのか広告なのか不明瞭です。確かに、子どもの権利団体としてそのような創作物等への反対表明をすることは自然ではありましょうが、単に「法律に触れない内容にすればこの主張は真っ当になるだろう」とお手軽に挿げ替えただけに他ならないのではないでしょうか。やはり、森田さんの中で未だに子どもを守るという意識が最優先事項として盲信して位置づけておられるがために、その他の問題に対する社会的・法的・文化的な配慮や知識が不十分であると感じます。年末年始、お忙しい中ブログ更新に感謝いたします。明年からさらに国会等での議論が増えていくでしょう。正しい立法が行われることを願い、森田さんのご活躍にも期待しております。

  5. >りす様日本ユニセフ協会・ECPAT東京・Save the Childrenおよび、森田様が求めているのは表現の規制であって流通の規制ではありません。流通の規制であれば『子供に見せない』という建前があり、判例として確定していることもあって私も含め反対意見はそれほどないでしょう。けれどご存知のように子供に見せないための年齢制限及び販売制限は既遂である以上、更なる規制は原則的に表現規制しかありません。森田様をはじめ、言論統制・表現規制推進派の方々は実際にそれを要求され、その根拠を「それを要求しなければ児童の権利保護を行う団体としての資格がないから」であると主張されている訳です。これは実際に児童保護に汗を流し、それぞれの立場や根拠から表現規制を行うべきではない、とする人々を侮蔑する言葉でしょう。その主張の傲慢かつ非論理で不寛容な反社会性に立腹しないひとの方が少数ではないでしょうか。まして森田様の主張は以下のように変遷しています。>児童の個人法益を侵害するから規制←その事実が科学的・医学的に存在しない事が指摘される↓>社会法益に反するから規制←他のメディアも同等であり漫画やアニメーションといったメディアだけの規制は成り立たないと指摘される↓>児童保護を主張するなら当然規制すべきである←根拠は明示されず、表現規制を求めない児童保護団体に対する侮蔑であると指摘される根拠はひたすらブレ続け、一貫しているのは『規制(禁止)すべきである』という主張の一点だけです。根拠とは主張の根幹です。結果としての規制は手段に過ぎません。主張としては手段のために根拠を探しているような状態であり、最終的にはその根拠すら見つけられずtautologyに逃げ込んでいる状態です。通常、debateでは根拠はあまりブレません。なぜならば一定の目的に対しそれを実現するための原動力が根拠であり、そのための手段を策定していく過程がdebateだからです。従って根拠が切り替わった場合には手段も自動的に切り替わりますが、目的は常に同一です。ところが、森田様のご主張で常に同一なのは表現規制という手段です。これはdebateとして成立していません。おかしいとは思いませんか?ということです。

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