明けましておめでとうございます!

いよいよ2017年が明けました。
ニューヨークより新春のご挨拶を申し上げます。
本年もよろしくお願い申しあげます。

私はお陰様でほんとうに充実した在外研究生活を送っています。
そして、今年も臆することなく世界の頂点に向けていろいろなことに挑戦したいと思っています。

新春の初チャレンジは2月にサンフランシスコで開催される国際カンフェレンスWISDOM2.0です。
このカンフェレンスは2009年からはじまりいまや世界20カ国以上から3000人を超える人々が参加する、科学技術と伝統的知識の融合をテーマとする世界で最大規模のイベントとなっています。
このイベントで、わたしが取り組んでいる国際理解教育プログラムGo Globalを紹介したいと考えています。
そのためには世界を対象とする一般投票で上位20人に選ばれ、さらにカンフェレンスの参加者による第二次投票で上位10人に選ばれる必要があります。
締切は1月4日。日本時間では5日の午後5時になると思います。
投票は以下の手順でお願いいたします。
皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
1.以下のURLをクリックください。
http://wisdom2contest.com/?contest=contest-profile
2.画面の右下のRegisterの欄に任意のUsername(ローマ字でお願いします)とe-mail addressを記入して、青色のRegisterをクリックください。…
3.すると、記入いただいたメルアドにThe People’s Stage @ Wisdom 2.0というタイトルのメールが届きます。
4.メールの本文にあるUser nameとpasswordを上記1.のURLの左下のLog inの欄に記入してクリックいただくと、投票できる画面が現れます。
6.私のビデオをクリックして投票をお願いします。

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世界の大学革命

「世界でもっとも優れた高等教育機関のもっとも優れた教師のもっとも優れた教育を世界の人々に無償で提供する」という理念を掲げて2012年にオンライン教育プラットフォームを運営する「組織コーサラ(Coursera)」を立ち上げたスタンフォード大学のダフネ・ケラー教授は、ロンドンで開催された教育工学関係の学会において、「オンラインで学位取得可能な講義を提供する上での技術上の困難はすでに克服された」「世界のトップ大学が単位取得可能な講義をオンラインで公開する準備はすでに整った」「(それが)今後5年以内に実現しないとしたら、それこそ驚くべきことだと発言したと伝えられています。

一方、毎年高騰する大学の学費が多くの意欲と能力のある学生から高等教育の機会を奪っているという反省から、安い学費で世界最高の教育を提供することを目指すまったく新しいコンセプトの大学も生まれています。2014年9月1日に米国サンフランシスコで開校した米国の4年制総合大学のミネルバ大学は、(1)最新IT技術を活用した少人数・セミナー形式の授業、(2)7つの国際都市で全寮生活を送りながら、現地のインターンプロジェクトに参加できる機会、(3)世界各地から集まった多様な学生からなる多文化学習環境、を年間約1万ドルの学費で提供しています。

池尾和人教授(慶応大学、経済学)は世界の今後の技術革新と経済成長について、ノースウエスタン大学のロバート・ゴードン教授とマサチューセッツ工科大学のエリック・ブリュルフソンとアンドリュー・マカフィーによるまったく異なった2つの見方を紹介しています。( 池尾和人『連続講義・デフレと経済政策』日経BP社、2013年7月)

ゴードンの基本的な考え方は、基幹技術の発明とその社会的普及が経済成長をもたらすということである。したがって、基幹技術が発明されなければ、あるいはその社会的普及が完了すれば経済成長も終わることになる。一方、基幹技術が発展し、その潜在的な力が全面的に発揮されるようになるには、社会全体の仕組みが、その技術を活かすものに根本的に作り替えられる必要があり、それには100年にも及ぶ長い時間がかかるとされる。ゴードンによると、第1波の産業革命につながった基幹技術は蒸気機関、綿紡績、鉄道などであり、1750年から1830年の間に集中的に発明された。第2波の産業革命を引き起こした機関技術である電気、内燃機関、室内配管を伴う上下水道技術などは1870年から1900年の間に発明され、1950年から1970年の間に社会全体を転換させる原動力となった。ゴードンは、1960年頃よりはじまったコンピュータとインターネット技術は経済成長に大きな影響を及ぼす基幹技術ではなく、現在の経済不況は新たな基幹技術が生まれていないという構造的な問題に起因しているのだと評価している。

ブリュルフソンとマカフィーは、情報通信技術(ICT)の発展はすでにかなりの影響を社会と経済に与えており、今後さらにその影響力が加速度的に高まっていくと予想している。いままで人間にしかできないと思われてきたことが、どんどんと機械にもできるようになってきており、機械によって人間の仕事が奪われるという状況が広範囲に生じている。筋力を要する仕事が機械によって代替されたのに続いて、現在ではそこその知的作業が機械(コンピュータ)によって代替されるようになっており、その結果、技術的失業の問題がさらに深刻化している。したがって、企業レベルでも、社会レベルでも、組織革新を進め、人的資本への教育投資を強化し、新たな基幹技術であるICTへの社会全体の適応を促進する必要が高まっているのである。

高等教育界の最新の動向を見る限り、未来予測の軍配はブリュルフソンとマカフィーに上がっているように思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

A story in the Roosevelt Island

https://www.youcaring.com/chris-and-janet-griffin-557756

In early 2015, Janet and Chris Griffin learned that the baby girl they would welcome into the world would require lots of extra support and care. Along with Down Syndrome, Emily Griffin also had some very significant heart defects. Heartbroken, Janet and Chris decided to trust God and made the brave decision to give Emily life. Last August, the community of Roosevelt Island got to meet and immediately fall in love with Emily. Her big blue eyes and strawberry blonde hair were beautiful to behold and she became as well known around Roosevelt Island as her big sister Scotlyn. But, as predicted, Emily’s little body struggled to catch up to her big personality. She desperately needed heart surgery, but had to get stronger to be able to make it through. In November, a few weeks prior to surgery, Emily caught a cold that turned into pneumonia and sent her to the hospital. Over the next 4 and half months, Emily fought to get healthy enough to survive the surgery. It seemed like every time she would be well enough for long enough, she would crash. The cycle went on until Mid-march when finally, she was cleared for surgery. Although the surgery was a success, the damage done to her little body over the course of the 8 months was too much, and on April 19, 2016, Chris and Janet said goodbye to their little girl.

地球市民教育としてのヒッポ・プログラム

2月18日に開催された「多言語・脳科学」シンポジウムに参加しました。

添付の記事はこのシンポジウムの報告です。

長年多言語習得プログラムに取り組まれてきたヒッポファミリークラブに東京大学とMIT(マサチューセッツ工科大学)が協力して、多言語習得活動が脳に与える影響を科学的に調査しようという研究が始まることになり、そのキックオフイベントでした。

RGEN 2016年3月号

北東アジア子どもの権利革命宣言―勝間靖(早大)編著『アジアの人権ガバナンス』(勁草書房)

勁草書房から、『アジアの人権ガバナンス』が出版されます。
勝間靖早稲田大学教授の編著で、私は第3章「地域的子どもの権利保障メカニズムの実現に向けて」を書いています。
この副題が「北東アジア子どもの権利革命宣言」です。
出だしはこんな感じです。

本章では,東アジア,とくに中国,韓国,日本,モンゴルを中心とした北東アジアに焦点を当て,この地域で実現可能かつ有効に機能すると思われる地域的な子どもの権利保障メカニズムおよびその実現方法について検討する .
近年のグル―バルな人権レジーム の急速な発展のなかで,北東アジア地域が世界の趨勢から取り残されていることは否定できない事実である.その背景には,この地域固有の政治状況があることは間違いない.しかし,一方で北東アジアは儒教・仏教などの文化的資産を共有しており ,その意味ではこの地域にヨーロッパや米州,アフリカのような自立的な地域的人権保障メカニズムを構築することは決して夢物語ではない.
わたしは,人権規範には実定法上の法言語としての側面と,その正当化根拠である道徳秩序構想としての側面があり(Taylor 1999: 125),この両面から北東アジアにおける地域的人権保障メカニズムの構築を目指すべきであると考えている.すなわち,人権規範がこの地域に定着し,遵守されるようになるためには,この地域で広く承認されている道徳秩序構想が人権規範の正当化根拠として受け入れられる必要がある .その際に留意すべきことは,グローバル化時代の今日,北東アジア固有の文化的伝統は尊重されなければならないが,その地域主義はリベラルな多文化主義の原則と両立するものでなければならないということである.
同時に,北東アジア各国の国内人権状況の具体的改善につながるような地域的連携メカニズムの漸進的な構築と実践の積み重ねが必要である.その際の鍵となるのが国内人権機関と地域的・国際的な救済申立制度である.

——————転送歓迎——————

***新刊のご案内***

アジア地域統合講座専門研究シリーズ第1巻
『アジアの人権ガバナンス』
Human Rights Governance in Asia
勝間靖(早稲田大学教授)編著
勁草書房
  A5判上製256頁 予価3990円(本体3800円)
  ISBN 978-4-326-54629-9
  2011年11月28日(月)配本

女性・子ども・障害者・難民・先住民族・エスニックマイノリティ等への人権保障はアジア地域協力と地域統合につながるのか?

***目次***

第1部 国際人権規範の地域的な促進と実施
   第1章 アジアにおける人権レジームの構築
       ― グローバル人権規範の受容とASEAN人権委員会 ―
       / 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)
   第2章 女性の権利をめぐる東南アジアの地域的な取組み
       ― ASEAN女性と子ども権利委員会 ―
       / 中川香須美(パンニャサストラ大学)
   第3章 地域的子どもの権利保障メカニズムの実現に向けて
       ― 北東アジア子どもの権利革命宣言 ―
       / 森田明彦(尚絅学院大学)
   第4章 アジア太平洋における障害者の人権
       ― 障害当事者による人権の確立を目指して ―
       / 中西由起子(アジア・ディスアビリティ・インスティテート)

第2部 人権の主流化とネットワーク形成
   第5章 アジア開発銀行と人権
       ― 開発における人権保障をめぐる現状と課題 ―
       / 藤田早苗(エセックス大学)
   第6章 子どもの性的搾取に反対する国際ネットワークの形成
       ― 当事者を中心とした「子どもの権利」ガバナンスの模索 ―
       / 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)
   第7章 難民の権利を守るための地域ネットワーク
       ― アジア市民社会の動きを中心に ―
       / 松岡佳奈子(難民支援協会)
   第8章 先住民族ネットワーク
       ― アジアの草の根運動と国際人権システムを架橋する ―
       / 木村真希子(学習院大学/立教大学 非常勤講師)

第3部 深刻な人権侵害の解決へ向けた地域協力   
   第9章 ミャンマーの人権侵害とアジア地域協力の可能性
       ― 欧米諸国とASEAN諸国の対応の相違に注目して ―
       / 本多美樹(早稲田大学)
   第10章 フィリピン南部ムスリム社会の人権侵害
       ― 人権保護システム構築へのみち ―
       / 石井正子(大阪大学)
   第11章 エスニック・マイノリティの人権のための地域協力
       ― チッタゴン丘陵をめぐるNGOによる平和構築の試み ―
       / 下澤嶽(静岡文化芸術大学/ジュマ・ネット)

資料 人権に関するASEAN政府間委員会への委託事項
       / 勝間靖(早稲田大学/ジョージワシントン大学)

——————転送歓迎——————

義理と人情の人権哲学

人権規範が国際化し、多様な文化のもとで実際に活用されるにつれて、人権規範に対する挑戦もまた増大している。
人権規範に対する挑戦は、実定法としての人権規範に対する拒絶にとどまらず、人権規範に象徴される西洋文明に対する批判という形を取ることも少なくない。
例えば、ラッチィンガー枢機卿(現ローマ教皇ベネディクト16世)は、自然法を「特にカトリック教会において、世俗社会および他の宗教諸派との対話にあたって、共通の理性に訴えかけ、世俗化した多元的社会における法の倫理的諸原則について合意しあうための」道具であったと述べ、「こうした自然法の、少なくとも近代における最後の要素として残っているのは、人権である」とした上で、「ひょっとして今日では、人権についての考えは、人間の義務と人間の限界についての教えによって補わなければならないかもしれない。こうした問いをめぐる対話は今日では、異文化交流的に解釈し、かつ設定されたものとなれなければならない。キリスト教徒にとってはこうした対話では、被造物と創造主の問題が重要となるであろう。インド世界ではこれに対応するのは『ダルマ』、つまり存在の内的な掟であり、中国の伝統では天の秩序という理念であろう」と今日の人権を巡る課題を総括している。

それでは、人権規範が多文化の下で適切に行使されるためには、何が必要であろうか。
チャールズ・テイラーも指摘するように、人権規範には実定法上の法言語としての側面と、その正当化根拠である道徳秩序構想としての側面がある。
私は、人権規範がそれぞれの国において法として遵守されるようになるためには、各国で広く承認された道徳秩序構想が人権規範の正当化根拠として受け入れられる必要があると考えている。道徳秩序構想とは、特定の社会が一般的に承認する社会的、個人的な行動規範である。
あらゆる社会は固有の道徳秩序構想を必ず持っているが、個々の道徳秩序構想は固有の個人観、社会観を擁している。
したがって、非西欧社会である日本において人権規範を定着させるには、日本社会において広く受け入れられた個人観、社会観に基づいた道徳秩序構想を人権規範の正当化根拠として再構成して提示する必要がある。

本研究ノートでは、以上の問題意識に基づき、日本における人権規範の正当化根拠としての道徳秩序構想を代表し得る観念として「義理」を取り上げる。
なお、日本における人権規範の正当化根拠として、日本固有の道徳秩序構想を明らかにするという試みは、日本の歴史やそこに見出される文化的遺産を絶対視するものではない。
文化とは常に生成・変容するものであり、その引き金ないし素材はしばしば外部から到来する。例えば、溝口睦子は、(5世紀初頭の)対高句麗戦における敗北のショックが、当時の日本社会に抜本的な体制の変革を引き起こすきっかけとなったのではないかとの考察を示し、その衝撃を幕末期の黒船来航や、唐・新羅の連合軍に惨敗した663年の白村江の戦いに比肩するものと述べている。
また、これらの外圧と同様あるいはそれ以上の衝撃が1945年の敗戦によって日本社会にもたらされたことは明らかである。さらに、1989年の冷戦の終結に伴う世界構造の変容と米国の対日政策の変化によって、戦後日本社会に定着していた心情的な一国平和主義が打ち破られたことも、歴史的な衝撃の一つに数えることが出来るであろう。
そもそも、日本文化とは何かを決定する主体は、日本に住む人々そして日本に関わる人々であり、それらの人々は過去の歴史的遺産、文化的伝統を踏まえつつ、新たな日本文化を創造する主体的権利を有している。
チャールズ・テイラーが述べているように、「過去とは(現在の)状況の源であり、未来とは自らの行動が(過去と)ともに決定する生きられた時間(lived time)」なのである。
したがって、日本における人権規範の正当化根拠としての日本固有の道徳秩序構想を明らかにしようとする試みは、歴史的・実証的研究と同時に、現代日本の何を変え、何を残すべきなのかという規範的研究の両者が必要である。
森田明彦「権理通義の思想―人権規範の日本的基層理念としての「義理」の可能性」『社学研論集』第14号、早稲田大学社会科学研究科、2009 年9月